バイオリソースセンター(熱研生物資源室 NEKKEN BRC)

熱研生物資源室(NEKKEN Bio-Resource Center, NEKKEN BRC)は、文部科学省が2002年度より開始した「ナショナル バイオリソース プロジェクト(以下NBRP)」について、研究所直下のプロジェクト業務として取り組むことを目的に2015年度に設置された。本プロジェクトは、ライフサイエンス研究の基礎・基盤となる重要な生物種等であって、我が国独自の優れたバイオリソースとなる可能性を有する生物種等について収集・保存・提供を行う拠点を整備するものである。熱帯医学研究所では、2002年のNBRP発足以来、病原性原虫を担当し、現在は千葉大学真菌医学研究センターを代表機関とする「NBRP病原真核微生物」の分担機関として参画している。また2023-2024年度はNBRP基盤技術整備事業においても、赤痢アメーバ培養株のリカバリー効率の高い凍結保存技術の開発を行い、本年度からその成果を取り入れた提供株を作製している。
スタッフ
- 室長
- 見市文香
- 事業担当
- 風間真
- 事業担当
- 迎智秋
- 事業協力
- 濱野真二郎
- 事業協力
- 北 潔
本プロジェクトが研究コミュニティにとって一層欠くべからざる知的基盤となるよう、NEKKEN BRCでは以下のサービスを提供することにより、原虫感染症と病原性原虫の研究と教育を支援している。(1)国内の原虫株保有者から原虫株情報を収集してウェブサイトで公開。(2)病原性原虫を研究材料とする研究者や研究機関へリソースを提供。(3)後継者不在や間近に退職を控えた研究者からの原虫株の寄託受け入れ。(4)これら原虫株の維持・管理。(5)当室で作製した原虫標本の医学教育機関への提供。
現在は保有している約950株の原虫のうち、約380株を提供できる体制となっている。2024年度は原虫株24件とスライド標本15件、計43件のリソース提供を行った。提供先は16の研究教育機関と1社の一般企業であった。クルーズトリパノソーマ凍結株や教育教材用の染色スライド標本が好評を得ている。
提供可能な原虫株の代表例
- Entamoeba histolytica HM-1:IMSS clone6、SAW755CRclB、Rahman
- Giardia intestinalis Portland-1、IndA2、WS1
- Leishmania amazonesis LV78
- Leishmania donovani D10、T14、DD8 India
- Naegleria fowleri YT9611
- Plasmodium berghei NK65、XAT、ANKA
- Plasmodium falciparum FCR-3、K1、V1-S、FCB、Dd2、7G8、HB3、3D7
- Toxoplasma gondii RH、Beverley
- Trichomonas vaginalis Kurume
- Trypanosoma brucei brucei GUTat3.1、TC221
- Trypanosoma brucei gambiense Wellcome
- Trypanosoma brucei rhodesiense IL2343
- Trypanosoma cruzi MAR6、Tulahuen、Y、CL Brener、Sylvio-X10/4、Luc2発現株
詳細は下記ウェブサイトを参照のこと。