熱研とは

長崎大学熱帯医学研究所 外観

理念

熱帯地域に存在する複雑多様な自然・社会環境が、熱帯病をはじめとする錯綜した健康問題を引き起こし続けている。国際交流の進展が著しい今日、これらの問題は世界的視野に立って解決されなければならない。

長崎大学熱帯医学研究所は、上述の認識に基づき、熱帯病の中でも最も重要な領域を占める感染症を主とした疾病と、これに随伴する健康に関する諸問題を克服することを目指し、関連機関と協力して以下の項目の達成を図るものである。

  1. 熱帯医学及び国際保健における先導的研究
  2. 研究成果の応用による熱帯病の防圧ならびに健康増進への国際貢献
  3. 上記にかかわる研究者と専門家の育成
長崎大学熱帯医学研究所

〒852-8523 長崎県長崎市坂本1-12-4
TEL(代表)095-819-7803

所長メッセージ

熱帯医学研究所 所長 金子 聰
熱帯医学研究所 所長
金子 聰
「熱帯医学の英知を結集し、地球規模の健康課題に挑む」
 

長崎大学熱帯医学研究所(熱研)のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

本研究所は、1942年に長崎医科大学附属東亜風土病研究所として開設され、戦後、風土病研究所への改名を経て、1967年に現在の名称となりました。開設以来、80余年にわたり、日本唯一の熱帯医学に特化した研究所として、我が国における熱帯病や感染症の研究・教育を牽引してまいりました。

このような長い歴史を有する研究所ではありますが、現在、本研究所は、大きな転換点に立っています。国内においては、少子化に伴う社会構造の変容を受け、大学組織のあり方や運営の効率化に向けた自律的な変革が、大学のみならず本研究所を含めた全ての部局にも求められています。また国際的には、COVID-19パンデミック以降、研究機関には単なる知の集積にとどまらず、複雑化する健康危機に対して科学的エビデンスを迅速に提供し、社会実装を先導する役割が期待されています。一方で、熱帯医学研究の本質に立ち戻り、「熱帯地域の健康問題」の解決という本来の取り組みを一層強化することも重要な課題のひとつです。このように、本研究所は、新しい時代や社会の要請に応じつつも、これまでの歴史を継承しつつ、未来に向けて進化する必要に迫られています。

  1. 研究:熱帯医学の「知の拠点」としての進化と本質の問い直し

    現在、本研究所は、AMED SCARDA(日本医療研究開発機構先進的研究開発戦略センター)による次期パンデミックに備えた医薬品の研究開発事業をはじめとする感染症対策の大型プロジェクトに深く関与しています。しかし、COVID-19パンデミックにより、再び覆い隠されてしまった熱帯病が存在することも確かな現状です。そのような時代だからこそ、私たちは「研究所として真に取り組むべき研究は何か」という本質的な問いを不断に自問し続けなければなりません。
    国内外の経済や生活に多大な影響を与えるパンデミックに備えること、そして、熱帯地域に蔓延する感染症や低・中所得国の貧困層を中心に広がるマラリアや顧みられない熱帯病(NTDs)、その他の健康問題に対応すること。それらを広い学際的視野を持ち、高度な最先端生命科学研究から地域社会に根ざした社会科学的アプローチまで幅広く扱う必要があります。そして、熱帯医学における「知の拠点(Center of Excellence)」として、10年、20年先を見据えた研究を推進し、これまで以上に研究室での発見を現場の解決策へとつなげるとともに、またその反対に、現場で顕在化した問題を研究室へと還流させる双方向の連携体制をさらに強化してゆきます。

  2. 教育:次世代を担うリーダーの育成

    本研究所は、熱帯医学実践への入口となる医療関係者を対象とした熱帯医学研修課程を主催するのみならず、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科や熱帯医学・グローバルヘルス(TMGH)研究科と連携し、熱帯医学の研究者や実践を目指す人材の育成も行っています。日本国内のみならず、海外からの学生や若手研究者が、文部科学省や国際協力機構(JICA)による留学制度、さらには民間助成金や私費も含めて長崎に集まり、ともに学び・研究し、地球規模の問題となる感染症から低・中所得国や地域における健康問題の解決まで、幅広く対応できる人材の育成を一層推進してゆきます。

  3. 国際協力と民間との連携による国際展開

    本研究所は、『熱帯・新興ウイルス感染症研究に関するWHO研究協力センター』として、またそして、JICA事業や塩野義製薬株式会社等の民間企業との連携を通じて、グローバルな感染症対策や熱帯地域の健康問題解決に貢献しています。
    またさらに、本研究所は、ベトナム、ケニアに教育研究拠点を設置し、現地での研究施設の整備と事務支援体制を確立し、現場での研究と人材育成を実践しています。また、このような拠点を持たない国・地域においても幅広い協力関係のもと、熱帯医学研究の展開を図っています。このような国際協力と国際共同研究の展開により、本研究所は、世界の熱帯医学研究を牽引する中核拠点として、その地位を一層強固なものにしてまいります。

  4. 未来に向けて

    1960年代後半、高度経済成長を迎え、経済の発展と衛生環境を整えた日本において、それまで寄生虫疾患をはじめとする国内の“風土病”対策に奔走していた本研究所の前身である「風土病研究所」は閉鎖の危機にさらされました。しかし、先人の知恵により、海外に目を向け、組織改革をおこない、「熱帯医学研究所」として復活を遂げました。同様に、気候変動や紛争などの問題がさらに表面化し、地球全体を巻き込んだ大きな転換が起きつつある現在、先人たちがそのような転換を恐れず突き進んだ道を、同じように恐れず、自ら「最適な状態」を追求し、熱帯医学研究所は進化を続けていく必要があります。守るべき「熱帯医学への熱意」を秘めつつ、世界から信頼され、必要とされ続ける研究所として、さらに発展させることができれば幸いです。

今後とも、本研究所の研究教育活動、国際貢献への温かいご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

令和8年4月1日

沿革

昭和17年3月
長崎医科大学附属東亜風土病研究所設立
昭和20年8月
原爆投下により研究所建物及び研究資料消失
昭和21年4月
長崎医科大学風土病研究所に改称
昭和21年5月
諫早市に移転し、研究活動再開
昭和24年5月
新制長崎大学に附置され、長崎大学附置風土病研究所に改称
昭和32年7月
諫早大水害により、施設、機器、研究資料等に壊滅的な被害
昭和34年3月
長崎市興善町の元長崎大学医学部附属病院外来患者診療所跡に移転
昭和36年3月
長崎市坂本町に新庁舎竣工
昭和36年4月
新庁舎に移転
昭和39年4月
疫学部門の増設
昭和40年4月
寄生虫学部門の増設
昭和41年4月
ウイルス学部門の増設
昭和42年2月
本館の第一次増築竣工
昭和42年6月
風土病研究所が熱帯医学研究所に改称
昭和42年6月
熱帯医学研究所内科として、医学部附属病院に設置
昭和49年4月
附属熱帯医学資料室設置
昭和49年4月
病原細菌学部門の増設
昭和53年3月
感染動物隔離実験棟竣工
昭和53年4月
防疫部門(客員部門)の新設
昭和53年4月
熱帯医学研修課程の新設
昭和54年4月
感染動物隔離実験棟が熱帯性病原体感染動物実験施設に昇格
昭和55年3月
本館の第二次増築竣工
昭和58年4月
国際協力事業団(JICA)の集団研修コース「熱帯医学研究所コース」開設
昭和59年4月
原虫学部門の増設
昭和60年8月
本館の第三次増設竣工
昭和62年4月
病害動物学部門の増設
平成元年5月
熱帯医学研究所は全国共同利用研究所に改組
平成3年4月
感染生化学部門の増設
平成6年3月
本館の第四次増築竣工
平成6年4月
大部門制に改組(3大部門12研究分野)
平成7年4月
世界の最先端の学術研究を推進する卓越した研究拠点(COE)の研究所に指定
平成8年4月
病原体解析部門に分子疫学分野(外国人客員分野)の新設
平成9年4月
附属熱帯医学資料室の廃止・転換に伴い、附属熱帯病資料情報センターの新設
平成13年4月
附属熱帯病資料情報センターの廃止・転換に伴い、附属熱帯感染症研究センターの新設
平成15年3月
本館の第五次増築(熱帯性病原体集中研究管理棟)竣工
平成18年3月
本館の改修工事竣工
平成20年4月
附属熱帯感染症研究センターの廃止・転換に伴い、附属アジア・アフリカ感染症研究施設及び熱帯医学ミュージアムの新設
平成21年6月
共同利用・共同研究拠点「熱帯医学研究拠点」に認定
平成23年4月
臨床研究部門(3研究分野)の増設
平成25年6月
附属熱帯性病原体感染動物実験施設廃止
平成26年4月
附属熱帯医学ミュージアムの移設
平成29年11月
熱帯医学研究所創立75周年式典の挙行
平成31年4月
シオノギグローバル感染症連携部門の開設
令和4年12月
臨床研究部門に2分野増設
令和6年7月
環境医学部門に1分野増設

歴代所長

長崎医科大学附属東亜風土病研究所
角尾 晋
昭和17年5月4日~昭和20年8月22日
古屋野 宏平
昭和20年12月22日~昭和23年1月23日
高瀬 清
昭和23年1月24日~昭和23年8月31日
登倉 登
昭和23年9月1日~昭和24年5月30日
長崎大学風土病研究所
登倉 登
昭和24年5月31日~昭和33年8月31日
大森 南三郎
昭和33年9月1日~昭和38年11月30日
福見 秀雄
昭和38年12月1日~昭和42年5月31日
長崎大学熱帯医学研究所
福見 秀雄
昭和42年6月1日~昭和44年11月30日
片峰 大助
昭和44年12月1日~昭和48年11月30日
林 薫
昭和48年12月1日~昭和52年11月30日
内藤 達郎
昭和52年12月1日~昭和54年11月30日
片峰 大助
昭和54年12月1日~昭和56年4月1日
松本 慶藏
昭和56年4月2日~平成3年4月1日
板倉 英丗
平成3年4月2日~平成5年4月1日
小坂 光男
平成5年4月2日~平成9年4月1日
五十嵐 章
平成9年4月2日~平成13年3月31日
青木 克己
平成13年4月1日~平成19年3月31日
平山 謙二
平成19年4月1日~平成23年3月31日
竹内 勤
平成23年4月1日~平成25年3月31日
森田 公一
平成25年4月1日~平成29年3月31日
平山 謙二
平成29年4月1日~平成31年3月31日
森田 公一
平成31年4月1日~令和4年3月31日
金子 修
令和4年4月1日~令和8年3月31日
金子 聰
令和8年4月1日~現在

組織図

長崎大学熱帯医学研究所 組織図

熱帯医学研究所運営協議会委員

  • 狩野 繁之(国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所)
  • 鈴木 定彦(北海道大学 人獣共通感染症国際共同研究所)
  • 河津 信一郎(帯広畜産大学 原虫病研究センター)
  • 池松 和哉(長崎大学 医学部)
  • 川上 純(長崎大学 感染症研究出島特区)
  • 北 潔(長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
  • 渡辺 知保(長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
  • 中島 正洋(長崎大学 原爆後障害医療研究所)

アクセス

長崎大学熱帯医学研究所

〒852-8523 長崎県長崎市坂本1-12-4

キャンパスまでのアクセス
JR長崎駅から
  • 路面電車[1番系統・3番系統 赤迫行き]乗車→「原爆資料館」下車 → 徒歩
  • 長崎バス[8番系統下大橋行き(医学部経由)]乗車→「医学部前」下車
JR浦上駅から
  • 路面電車[1番系統・3番系統 赤迫行き]乗車→「原爆資料館」下車 → 徒歩
長崎空港から
  • 長崎県営バス(4番のりば)[長崎駅前行き(昭和町経由/昭和町・住吉経由)]→ 「原爆資料館」下車 → 徒歩
キャンパスマップ
長崎大学坂本キャンパスマップ