原虫学分野


           図1 悪性マラリアを引き起こす(矢印)のメロゾイトが、寄生赤血球から放出された後(0秒)、滑走して別の赤血球に接着し(5秒、10秒)、赤血球を変形させてから
             (15秒)、内部に侵入(30秒)する様子。我々は、メロゾイト期マラリア原虫は滑走運動を持つのか、という長年の謎を解明した(Yahata et al., 2021)



           図2 細胞接着活性を持つ感染赤血球(矢印)をヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対する接着選択を繰り返すことで選別し、責任分子であるSICA-HUVECを同定した
             (Chuang et al., 2022)

 

スタッフ

教 授
金子修
助教
宮崎真也
助教(有期)
成瀬妙子
助教(TT)
宮崎幸子
特任研究員
ベン イェディ アベル チタマ
特任研究員
Chuang Huai
特任研究員
坂田知世
客員研究員
上村春樹
客員研究員
加藤信高
技能補佐員
木下美紀
技能補佐員
佐倉桃子
技能補佐員
岩見律果
技能補佐員
田中玲子
技能補佐員
吉武絵美
大学院生
鈴木真耶
大学院生
Too Edwin Kimeli
大学院生
Thant Zin Tun
大学院生
Bitshi Ampas Mimie
大学院生
Ezenwanne Chukwuma Stephen
大学院生
Sittinont Chainarin
医学部生
内田実佑

研究活動

マラリアは世界の熱帯・亜熱帯地域で流行する重篤な原虫感染性疾患であるが、ワクチンの効果は低く、薬剤耐性原虫が問題となっている。当分野では、マラリア原虫の生物としての基礎的な理解がマラリア制御のためのツール開発に必要と考え、寄生適応のために原虫が進化させてきた様々な分子機構の解明を中心テーマとして、ヒトのマラリア原虫やネズミマラリア原虫、サルマラリア原虫を用いて研究を進めている。マラリア原虫は赤血球を認識した後に、赤血球との間で強固な結合を形成し、続いて寄生胞を形成しつつ赤血球内に侵入する。当分野の主要なテーマとして、この赤血球侵入の各ステップで利用される分子と各ステップをつなぐシグナルを明らかにすることを目指している。また、マラリア原虫は寄生した赤血球を接着しやすくすることで宿主防御機構から逃れ、それにより重症化する。原虫による赤血球改変と接着の分子機序を明らかにすることも分野の大きな研究テーマである。他にも、世界各地で収集した試料を用いたマラリア原虫の分子進化や薬剤耐性の解明、マラリアワクチン開発、サルマラリア原虫の診断法・制御法開発、ヒト感染性マラリア原虫の蚊および肝臓ステージの研究なども進めている。

最近の主な業績

  1. Christensen et al. Antimicrob Agents Chemother 2024; 68(5): e0028024.
  2. Poofery et al. Sci Rep 2023; 13: 20258.
  3. Ward et al. J Infect Dis 2023; 227(10): 1121-1126.
  4. Otsuki H et al. Biomolecules 2023; 13(3): 458.
  5. Nguyen et al. Sci Rep 2023; 13: 145.

業績一覧