【JICA草の根】ナイロビでのケニア保健省役員らに対するスナノミ症トレーニング

【JICA草の根】ナイロビでのケニア保健省役員らに対するスナノミ症トレーニング

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 2022年6月8日から10日にかけて、KEMRI Welcome trust、ICIPE、JICA・長崎大学は、ケニヤッタ国立病院の敷地内にあるアフィヤ・アネックスで3日間のスナノミ症研修を実施しました。

研修は、保健省のうち媒介される熱帯病部門、公衆衛生と研究部門、環境衛生部門より15人の参加者を迎え成功裏に行われました。

1日目:座学研修

KEMRI Wellcome trustのDr. Lynne ElsonとICIPEのDr. Ulirike Fillingerさんを迎え、スナノミの生物学と疫学、スナノミ症の疫学、病因とその影響、そしてスナノミ症の同定・報告方法に関する講義を受け、適宜参加者皆で話合いをしながら進めていきました。最後には写真を使って同定をするワークショップも行いました。

2日目:フィールドワーク

研修参加者全員が、ムランガ郡キグモ副郡のンジョラ小学校、キレレ小学校、ムボゴイノ小学校の3つの学校を訪問することができました。

研修参加者らは、上記3つの学校にてスナノミ症に罹患している42人の生徒を特定し、Jig Fix®(ココナッツオイルやニームオイル等の混合オイル)を使用し治療しました。前日の講義で得た知識を実践に移し、生徒の登録、足洗い、スナノミ症の識別、治療、報告ツールの使用、そして生徒への健康教育を行い、スナノミ症の治療予防対策を実施しました。

3日目:まとめ

フィールドワークで得た経験について参加者それぞれが報告し、今後の展望・スケージュールについて話し合いました。

本研修を実施するに至るまで

プロジェクトスタッフがDr. Wycliff Omondi (顧みられない熱帯病および媒介動物感染症部門長)とJICA草の根事業に関して進捗状況を共有した際に、今後のケニア国全体の持続可能なスナノミ症の活動について焦点が当てられました。

そこでMass Drug Administration(MDA)という活動にスナノミ症を追加することが提案されました。
このMDA活動は保健省とWHOによって毎年行われているため、JICA草の根事業が終了した後も、スナノミ症の予防治療活動が持続可能なものになると期待されます。
しかし、そのためには保健省本部(マスターズトレーナー)の人材育成が必要でした。彼らがケニア国内各郡において、MDAを通して保健ボランティア (CHA/CHV)をスナノミ症に関して訓練するからです。
従って今回の研修は、ケニア国のスナノミ症で多くの経験を持つ他組織/機関と協力して、マスタートレーナーの能力開発を行うことを目的として実施されました。


*MDAは、顧みられない熱帯病(NTD)撲滅を支援するため不可欠な活動です。 流行地域のすべての人に治療を行うことで、罹患した人が治療され、今後の感染予防にも繋がるとされています。

結論

•   顧みられない熱帯病および媒介動物感染症部門 が、今後保健省内でのスナノミ症研修を促進していきます。

• MDAは、コミュニティでの保健戦略と一緒に機能するコミュニティに根差した活動です。スナノミ症の指標が今後これに統合され、最大20郡で症例の記録が可能になります。

• 同部門は、サブカウンティレベルでの段階的研修のために、短く、正確で、理解しやすいスナノミ症研修マニュアルとツールを設計する予定です。

今回の研修の成果として、このスナノミ症に関する調査がMDA活動に含まれ、これまで顧みられなかった罹患者が特定され、治療を受けられるようになることを期待しています。