創薬探索研究分野

本分野は、スクリーニング創薬を基盤とした抗マラリア治療薬および予防薬の創製研究を進めている。
スタッフ
- 客員准教授
- 松村謙一
研究活動
マラリアはHIV・結核と並ぶ世界3大感染症の1つであり、年間2億人以上が罹患し、60万人以上が犠牲となっている原虫感染症である。ワクチンとして2022年にはMosquirixが、2023年にはR21/MMがWHOに推奨れたものの、効果が不十分等の課題も多く、既存治療薬に対しては耐性マラリアも報告されてきているため、新規薬剤の開発が急務である。
当分野では、塩野義製薬の研究員が研究責任者を担当し、「分子感染ダイナミックス解析分野」と連携して、長崎大学の強みであるマラリア研究のノウハウやグローバルネットワークといった研究アセットとSHIONOGIの強みである低分子創薬SAR(構造活性相関)エンジンを結びつけるハブの役割を担っている。それぞれの強みを生かして、強い抗マラリア活性かつ安全性の高い治療薬および予防薬の創出を目的に創薬研究を推進している。またMedicines for Malaria Venture (MMV) を含む、国内外のマラリア研究機関との連携も行い、これまでに創出したLead骨格、HTSヒット、表現型スクリーニングヒットの更なる展開を進めている。
具体的な取り組みは以下のとおりである。
- 既存化合物を起点としたLead骨格の構造活性相関(SAR)研究の実施
- スクリーニング創薬を基盤とした化合物ライブラリーからのヒット化合物同定と、Hit to Lead SARアプローチの実施
- SHIONOGI社内での、候補化合物の薬物代謝、安全性、物性パラメータの最適化
- SAR研究、臨床開発試験や新規ターゲット同定を目指した外部連携強化
- 抗マラリア治療薬、予防薬のターゲット探索と基盤研究の実施
最近の主な業績
- Tamura et al. Bioorg Med Chem Lett 2022; 68: 128769.
- Kato et al. Bioorg Med Chem Lett 2022; 59: 128567.
- Kato et al. J Med Chem 2023; 66: 11428.
- Tamura et al. Bioorg Med Chem Lett 2023; 79: 129059.