新興感染症学分野

新興感染症学分野では、分子~細胞~動物個体~生態系レベルでウイルス研究を進めることにより、ウイルス感染症の制圧を目指している。
スタッフ
- (兼)教授
- 安田二朗
- (兼)教授
- 南保明日香
- (兼)教授
- 好井健太朗
- 准教授
- 黒崎陽平
- 准教授
- 浦田秀造
- 助 教
- 吉川禄助
- 助 教
- 櫻井康晃
- 助教(有期)
- 菰田泰正
- (兼)助教
- 木下貴明
- (兼)助教
- 古山若呼
- (兼)助教
- 矢島美彩子
- (兼)助教
- 平野港
- 特任研究員
- 岡田沙弥香
- 特任研究員
- 木村繭子
- 特任研究員
- Christelle Pemba Mawonga
- 事務補佐員
- 髙野未来
- 大学院生
- Patrick Mpingabo Ilunga
- 大学院生
- 山城良介
研究活動
- エボラウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルスなどの出血熱ウイルスや新型コロナウイルスなどの新興感染症の原因ウイルスが宿主細胞内でどのようなメカニズムで増殖しているのかを解析している。特に、ウイルス性因子と宿主因子の相互作用および抗ウイルス活性をもつ細胞性因子の機能解析を中心に研究を進めている。
- 出血熱ウイルスや新型コロナウイルスに対して抗ウイルス活性をもつ細胞性因子の同定及び化合物のスクリーニングを行い、動物個体レベルで感染・発症を抑制することができる新規抗ウイルス療法の開発を進めている。
- 新興・再興感染症の病原体を迅速・簡便かつ高感度に検出できる新規検査法を開発している。
- アルベルト・シュバイツアー博士ゆかりの地である中部アフリカのガボン共和国ランバレネにおいて、ランバレネ医療研究センターとの国際共同研究として現地のウイルス感染症の実態調査とそれらウイルス感染症の診断法の導入を行っている。
- 新興感染症・人獣共通感染症に対する先回り研究として、ガボンとタイにおいて、野生動物(齧歯類、霊長類、コウモリなど)におけるウイルス感染状況の調査及び新規ウイルスの同定も実施している。

ヒトに重篤な疾患を引き起こすエボラウイルスおよびEpstein-Barrウイルス(EBV)を対象として、ウイルス-宿主相互作用という観点から、感染機構、および病原性発現機構の解明、ならびに新規診断•治療法の開発に取り組んでいる。
研究活動
- エボラウイルス制圧を目的とした感染機構の解明
ヒトに高い致死率を伴う重篤なエボラウイルス病を引き起こすエボラウイルスは、一連の生活環において、宿主の細胞機能を巧みに利用することで、子孫ウイルスを効率良く産生する。私たちは、多様な顕微鏡技術を用いて、ウイルス感染阻害薬の創出において重要な標的となるウイルス侵入、ならびにウイルス粒子形成機構の分子基盤解明を目的として、宿主の生体膜動態の役割に焦点を当てて研究を進めている。 - EBV関連がん発症機構の解明
ヒトγヘルペスウイルス亜科に属するEBVは、成人の90%に感染が認められる普遍的なウイルスであり、B細胞と上皮細部に指向性を示す。EBVは、一部の例において、バーキットリンパ腫、上咽頭がんや胃がん等の様々ながんの発症に関与することが知られている。私たちは、上咽頭がんや胃がんに代表される、上皮系がん発症機構の解明と診断法の開発を目指して、細胞間接触を介した上皮細胞へのEBV感染機構、ならびに感染細胞から放出される細胞外小胞(エクソソーム)の生理的役割に着目して研究を進めている。
最近の主な業績
- Sasaki et al. Biochem Biophys Rep 2024; 38: 101712.
- Nanbo et al. Microorganism 2024; 12(4): 806.
- Wannigama et al. Lancet Infect Dis 2024; S1473-3099(24)00155-5.
- Wannigama et al. Lancet Infect Dis 2023; S1473-3099(23)00620-5.
- Dochi et al. Int J Cancer 2023; 154(5): 895.
業績一覧

人に致死率の高い重篤な疾患を引き起こすウイルス性人獣共通感染症について、主にベクター媒介性のフラビウイルス感染症やナイロウイルス感染症を対象に、人、動物、そして環境(生態系)を一体として捉える「One Health」の観点から進める事により、感染症の制御を目指して研究に取り組んでいる。
研究活動
- 宿主間におけるウイルスの感染・適応機構に関する研究
節足動物が媒介するウイルスは、ダニや蚊といった無脊椎動物から哺乳類や鳥類などの脊椎動物へと大きな「種の壁」を越えて感染している。各宿主は、それぞれウイルス等の感染・増殖に対抗するための独自の抗ウイルス機構を備えているが、ウイルスはこのような抗ウイルス機構を乗り越えて各宿主環境内で増殖するためのメカニズムを持つように適応・進化してきた。私達は、このようなウイルスの各宿主に対する増殖・適応機構について、ウイルスー宿主間相互作用に着目した研究を進めている。 - ウイルスの生態や流行状況の解明
ダニ媒介性脳炎ウイルスやウエストナイルウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルスなどは病原性が高く、取り扱いにはBSL-3以上の実験施設が必要となり、多くの研究・検査機関において診断が実施できない状況にある。私たちは、分子生物学的技術を用いて、ウイルス様粒子等を活用した新しい安全な診断法を開発し、国内外においてウイルスの保有状況の調査研究を行うとともに、医師や獣医師、および検査機関等とも連携をしながら診断体制を確立し、感染状況の詳細を明らかにするための研究を進めている。
最近の主な業績
- Hirano et al. Antiviral Res 2022; 200: 105276.
- Takahashi et al. Ticks Tick Borne Dis 2022; 13: 101900.
- Kodama et al. Nat Commun 2022; 12: 5539.
- Maezono et al. Sci Rep 2022; 11: 9213.
- Haviernik et al. Antiviral Res 2021; 185: 104968.