現場から政策へ―齊藤准教授のJICA Policy Briefが示す新しい狂犬病対策

現場から政策へ―齊藤准教授のJICA Policy Briefが示す新しい狂犬病対策

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長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点の齊藤信夫准教授が執筆したPolicy Briefが、JICA緒方貞子平和開発研究所より公開されました。https://www.jica.go.jp/english/jica_ri/publication/policynotes/1578058_24215.html

本Policy Briefでは、フィリピンでの現地研究を通じて得られた知見をもとに、狂犬病迅速診断キット(LFD)を活用した「見える化」の重要性と、One Healthアプローチによる迅速なアウトブレイク対応の有効性が示されています。これまで診断体制が十分でなかった地域でも、現場での迅速診断を可能にすることで、感染状況を把握し、地域レベルでの対策を加速できることが明らかになりました。

また、診断キットの国際的な品質保証や安定供給の必要性など、今後の国際協力や政策立案に直結する提言も盛り込まれています。本内容は、アジアのみならずアフリカを含む狂犬病流行地域にとっても示唆に富むものです。

フィリピン全土への導入に成功した狂犬病迅速診断法(左)と情報共有アプリ(右)

▶ Policy Brief全文はこちら
https://www.jica.go.jp/english/jica_ri/publication/policynotes/1578058_24215.html

▶ JICA緒方研究所 公式Facebookでの紹介
https://www.facebook.com/JICARI/posts/pfbid0388q8tGJoGEi6ne9V2fcH2Ji1dCCJ5kg2aQif7NcAQ6irdNU2SJ7HwbUg5nDmcYMl

エビデンスが国際指針にも反映― WOAHステイトメントに反映された狂犬病LFD研究の成果

本Policy Briefで示された現場エビデンスは、政策提言にとどまらず、国際的な診断指針の整理にも反映されています。
WOAH(世界動物保健機関)の狂犬病リファレンスラボネットワーク(RABLAB)は、2023年の声明においては、狂犬病迅速診断キット(LFD)について、品質管理や性能のばらつきを理由に、公式診断や法定サーベイランスでの使用には”推奨しない”という立場を示していました。

しかし2025年に公表された最新のRABLAB文書では、他のWOAH推奨検査が実施できない資源制約下の環境を前提に、LFDをサーベイランスを補完する検査法として推奨に変更となりました。
この文書では、大分大学と大分の民間企業であるADTECが開発した狂犬病迅速診断キットが性能が高い検査法として示されております。
この指針の変更には、齊藤准教授らが発表してきた一連の論文・現場エビデンスが大きく関与しており、WOAHステイトメントでもそれらが多数引用されています。


現場で積み上げた科学的エビデンスが、国際的なルールや指針の更新につながることを示す、象徴的な事例と言えます。(www.woah.org/app/uploads/2025/08/woah-rablab-v5-sr.pdf)

今後も、現場で得られるエビデンスが政策や国際指針に役立つよう、地道な研究と実践を続けていきます。