アフリカで結核診断の革新をめざして ― Biotube研究、ケニアで始動

アフリカで結核診断の革新をめざして ― Biotube研究、ケニアで始動

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長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点において、彦根助教と齊藤准教授が主導するBiotube研究が始まりました。研究者であり女医(感染症専門医、救急専門医)でもある彦根助教は、肺外結核に特化した新しい診断法の開発を目指しています。

ケニア・ナイロビのケニヤッタ国立病院およびムガバディ郡病院を拠点に、多数の肺外結核患者を登録し、前例のない規模で研究が進められています。

肺外結核は全結核の2~3割を占め、特にHIVが蔓延する地域では深刻です。肺結核の診断は、喀痰を使った全自動核酸増幅検査(GeneXpert MTB/RIF)の普及で進歩しましたが、肺外結核では痰が使えず、迅速な診断ができないことが非常に問題となっています

そこで本研究では、CRISPR技術や検体濃縮、新規バイオマーカーを活用した新たな診断法の確立に取り組んでいます。

彦根助教を中心に、1年かけて結核検査体制をケニアで構築しました。長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点のBSL3施設を活用し、結核培養・感受性試験・遺伝子検査・全ゲノム解析・抗原検出が可能となりました(アフリカでこれらすべてを検査できる施設は非常に少ないです。)。現在は、検査技師3名、研究准医師2名のローカルスタッフとチームを作り、患者登録、検体処理などを行っています。

本研究は、ケニア中央医学研究所(KEMRI)、結核予防会 結核研究所、長崎大学医歯薬ウイルス学教室、ロンドン衛生熱帯医学校との連携に加え、タウンズ社、パナソニックヘルスケア、アドバンスセンティネルなど民間企業との連携も重要な柱として進められています。

長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点は、日本最大の海外結核臨床研究拠点を目指し、肺外結核研究の国際的中核拠点としての役割を果たすことを目指しています。

学生と患者診察