ケニヤッタ国立病院自走型の気管支鏡研修が始動

ケニヤッタ国立病院自走型の気管支鏡研修が始動

2026-01-23

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― 長崎大学とケニアッタ国立病院が共につくり上げた研修 ―

ケニアッタ国立病院(KNH)とAA Health Dynamics(AAHD)により、ケニア人医療者自身が主体となって実施する「ケニヤッタ国立病院自走型の気管支鏡研修」が開始された

本プロジェクトでは、2025年9月にKNHから5名を日本へ、同年12月に長崎大学病院から8名をケニアへ招聘し、超音波気管支鏡、気管支鏡看護、機器メンテナンスについて日本人専門家から研修を行った。あわせて、ケニア国内で継続的に活用できる教材として、気管支鏡マニュアル2冊およびマニュアル動画8本を共同で作成した。

長崎大学-ケニヤッタ国立病院合同作成 ケニア気管支鏡マニュアル

その成果として、2026年1月20日から22日まで、KNHおよびAAHDが中心となり、ケニア人主体による自走型研修(医師向け、看護師・医療工学技士向け)が実施された。研修は職種別に分かれ、基礎的な講義から実際に手を動かす実技まで、段階的に学べる構成とした。

研修では、日本で使用を終えた気管支鏡や専用のトレーニングモデルを活用し、これまで気管支鏡を扱った経験のない医師も、安全に実践的なトレーニングを受けることができた。当日は、長崎大学病院の島田 翔 助教がサポート役として参加し、ケニア拠点からは齊藤准教授、彦根助教も加わった。また、オリンパスの協力も得て、研修環境の充実が図られた。

参加者は、Moi Teaching and Referral Hospital(Moi)、Jaramogi Oginga Odinga Teaching and Referral Hospital(JOORT)、Meru Teaching and Referral Hospital、Mama Lucy Kibaki Hospitalから集まり、医師4名、看護師6名、医療工学技士3名が研修を受講した。

■ 医師向け研修

1日目(1月20日)|AAHDトレーニングセンター
午前中は、KNH呼吸器内科のAndrew 医師、Kagima 医師、Atina 医師が講師となり、気管支鏡検査の基本、解剖、検査の進め方、合併症への対応について講義を行った。
午後は、日本で使用を終えた気管支鏡やトレーニングモデルを用いた実技研修を実施し、初めて気管支鏡を扱う医師も基本操作や観察方法を実践的に学んだ。

講義風景
トレーニングモデル2台を使い気管支鏡トレーニング

2日目(1月21日)|ケニアッタ国立病院
実際の患者症例を用いた研修を行い、前日に学んだ内容を臨床現場で実践した。参加医師は、Andrew 医師、Kagima 医師、Atina 医師の指導のもと、初めての気管支鏡検査に取り組んだ。

■ 看護師・医療工学技士向け研修

2日目(1月21日)|ケニアッタ国立病院
KNHのJoanna 看護師が講師となり、気管支鏡検査における看護師の役割について講義を行った後、実際の検査を見学した。

3日目(1月22日)|AAHDトレーニングセンター
午前中は、John 看護師、Lucy 看護師、Purity 医療工学技士が講師となり、機器の準備、検体の取り扱い、検査後の洗浄・管理方法について講義を行った。
午後は、機器のセットアップや洗浄を中心とした実技研修を行い、ケニアで継続可能な方法をまとめたマニュアルおよび動画教材を用いて学習した。

気管支鏡マニュアル洗浄とリークテスト指導風景 Lucy看護師(青)より指導
検体s処理のハンズオントレーニング、Jhon看護師より指導

■ AAHDトレーニングセンターにおける気管支鏡研修体制の構築

本プロジェクトでは、AAHDトレーニングセンターを拠点として、気管支鏡研修を継続的に実施できる体制を構築した。研修用機材として、長崎大学病院および鹿児島大学病院から寄贈された、日本では使用を終えた気管支鏡や光源を日本からケニアへ輸送し、実技研修に活用した。

さらに、気管支鏡トレーニングモデルを長崎大学の別予算で購入し、AAHDトレーニングセンターに常設することで、研修期間外でも繰り返し使用できる環境を整えた。
これに加え、気管支鏡マニュアルおよびマニュアル動画を作成・配布し、参加者が自施設に戻った後も自己学習を継続できる仕組みを整備した。これらの取り組みにより、機材・教材・実技環境が一体となった研修体制がAAHDに確立され、ケニア国内で自立して研修を継続できる基盤が作り上げられた。

■ 今後に向けて

本研修により、ケニア人医療者自身が講師となり、気管支鏡、看護、機器メンテナンスを一体として教えられる自走型研修体制が整った。今後は、KNHが中心となり、AAHDトレーニングセンターを拠点として、同様の研修を継続的に実施していく予定である。

長崎大学が独自予算で準備した気管支鏡スコープ(4本)、光源、トレーニングモデル、マニュアル

本研修は、ケニアにおける肺がん診断体制および気管支鏡医療の強化を目的として、長崎大学が代表機関(申請代表者:齊藤准教授)となり実施している取り組みである。本事業は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が実施する「医療技術等国際展開推進事業」に長崎大学が採択され、実施されている。