RESULTS

成果

新型コロナワクチンの有効性


Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第6報
掲載日:2022年9月13日

論文


日本におけるデルタ株流行時の新型コロナワクチンの新型コロナウイルス感染症の発症予防における
有効性:Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2

新型コロナワクチンの有効性はいくつかの研究で報告されているが、アジアからの報告は限られている。今回、国内の多施設の医療機関と協力して、国内でデルタ株が流行した2021年7月1日から9月30日の間に新型コロナウイルス感染症を疑う症状のある16歳以上を対象として、検査陰性デザインを用いた症例対照研究を行い、国内での新型コロナワクチンの発症予防における有効性を評価する研究を行った。396人の陽性者を含む1936人が解析に含まれた。年齢中央値は49歳、53%が男性であり、34%に基礎疾患があった。新型コロナワクチンを2回接種完了(2回接種後14日以上経過)した割合は、陽性者では6.6%であったが、陰性者では38.8%であった。新型コロナワクチン2回接種完了の発症予防における有効性は、16歳から64歳では88.7%(95%信頼区間:78.8-93.9%)、65歳以上では90.3%(95%信頼区間:73.6-96.4%)であり、国内でも高い有効性があることが示された。


Haruka Maeda, Nobuo Saito, Ataru Igarashi, MasayukiIshida, Kazuya Suami, Ai Yagiuchi, Yuya Kimura, Masaru Komino, Hiromi Arai, Toru Morikawa, IoriMotohashi, Rei Miyazawa, Tetsu Moriyama, Hiroshi Kamura, Mayumi Terada, Osamu Kuwamitsu, Tomoichiro Hayakawa, Eiichiro Sando, Yasuji Ohara, Osamu Teshigahara, Motoi Suzuki, Konosuke Morimoto.


Effectiveness of mRNA COVID-19 vaccines against symptomatic SARS-CoV-2infections during the Delta variant epidemic in Japan: Vaccine Effectiveness Real-timeSurveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS)
Clin Infect Dis.
https://doi.org/10.1093/cid/ciac292

報告書


Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第5報
掲載日:2022年6月8日
報告者

前田 遥、森本浩之輔(長崎大学熱帯医学研究所)

要約

長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関 (病院および診療所)と協力し、新型コロナワクチンの発症予防における有効性を評価する研究を2021年7月1日から開始した。今回、新型コロナウイルスの変異株B.1.1.529 系統 (オミクロン株)が全国で拡大した2022年1月1日から3月31日に新型コロナウイルス検査を受けた患者情報を用いて、この期間の16歳以上における発症予防における新型コロナワクチンの有効性について暫定値をまとめた。
16歳~64歳では、ファイザー社製 (BNT162b2)またはモデルナ社製(mRNA-1273)いずれかの新型コロナワクチンの2回接種完了(2回接種後14日以上経過)による発症予防の有効性を36.0% (95%信頼区間: 23.2~46.7%)、3回接種完了 (3回接種後14日以上経過)の有効性を68.7% (95%信頼区間: 55.6~77.9%)と推定した。2回接種完了群においてワクチン接種からの時間経過で分けた解析では、接種完了後から90日以内の有効性は35.6% (95%信頼区間: 16.2~50.6%)、91~180日では34.5% (95%信頼区間: 20.6~45.9%)、181日以降では34.8% (95%信頼区間: 13.3~50.9%)と推定され、時間経過による有効性の明らかな低下は見られなかった。ファイザー社製新型コロナワクチンに限定した解析では、ワクチン2回接種完了による発症予防の有効性を34.2% (95%信頼区間: 20.0~45.9%)、3回接種完了の有効性を66.1% (95%信頼区間: 50.4~76.8)、モデルナ社製新型コロナワクチンに限定した解析では、ワクチン2回接種完了による発症予防の有効性を43.3% (95%信頼区間: 29.2~54.7%)、3回接種完了の有効性を75.8% (95%信頼区間: -50.5~96.1%)と推定した。1,2回目ファイザー社製新型コロナワクチンを接種、3回目モデルナ社製新型コロナワクチンを接種した場合の有効性は、81.7% (95%信頼区間: 39.9~94.4%)と推定された。
65歳以上では、ファイザー社製またはモデルナ社製いずれかの新型コロナワクチンの2回接種完了による発症予防の有効性を23.3% (95%信頼区間: -75.3~66.5%)、3回接種完了の有効性を80.5% (95%信頼区間: 46.5~92.9%)と推定した。ファイザー社製新型コロナワクチンに限定した解析では、ワクチン2回接種完了による発症予防の有効性を43.2% (95%信頼区間: -38.5~76.7%)、3回接種完了の有効性を78.8% (95%信頼区間: 33.1~93.3)と推定した。1,2回目ファイザー社製新型コロナワクチンを接種、3回目モデルナ社製新型コロナワクチンを接種した場合の有効性は、77.9% (95%信頼区間: -7.7~95.4%)と推定された。
本研究の第4報での報告と比較して、解析対象者数が増えたことにより、16歳~64歳においてはより正確な値を出すことができ、65歳以上においても評価することができた。16歳~64歳では2回接種完了群において、2回接種完了後3か月以内であっても有効性は約35%であったが、3回目追加接種により、68.7%まで上昇することが明らかになった。一方、2回接種に関しては、海外で認められるような接種後の時間経過による有効性の明らかな低下は認められなかった。65歳以上でも同様に3回目接種による有効性の上昇が認められた。本報告では、65歳以上を含む16歳以上において、オミクロン株に対しては、新型コロナワクチン2回接種による発症予防の有効性はデルタ株流行期と比較して低下がみられるが、3回目接種を行うことによりオミクロン株であっても発症予防における有効性が上昇すると確認した。
本報告は公衆衛生学的意義を鑑みつつ、暫定値を報告した。本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、2022年1月1日から3月31日においても、集計できていない情報もあるため、今後結果が変わる可能性があり、随時アップデートした結果を報告する予定である。

Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第4報
掲載日:2022年3月25日
報告者

前田 遥、森本浩之輔(長崎大学熱帯医学研究所)

要約

長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関 (病院および診療所)と協力し、新型コロナワクチンの発症予防における有効性を評価する研究を2021年7月1日から開始した。今回、新型コロナウイルスの変異株B.1.1.529 系統 (オミクロン株)が全国で拡大した2022年1月1日から2月28日に新型コロナウイルス検査を受けた患者情報を用いて、この期間の発症予防における新型コロナワクチンの有効性について暫定値をまとめた。 16歳~64歳において、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンの2回接種完了 (2回接種後14日以上経過)による発症予防における有効性を42.8% (95%信頼区間:23.6~57.1%)、3回接種完了 (3回接種後14日以上経過)における有効性を68.7% (95%信頼区間:37.1~84.4%)と推定した。2回接種完了による有効性について、ファイザー社製ワクチンに限定すると41.8% (95%信頼区間:21.1~57.1%)、モデルナ社製ワクチンに限定すると46.4% (95%信頼区間:24.1~62.2%)と推定した。2回接種完了群においてワクチン接種からの時間経過でわけて解析したところ、接種完了後から90日以内の有効性は41.4% (95%信頼区間:16.2~59.0%)、91~180日では43.0% (95%信頼区間:22.6~58.0%)、181日以降では31.7% (95%信頼区間:-17.6~60.4%)であり、時間経過とともにワクチンの有効性が減弱している可能性があると考えられた。本研究の第2報で報告した、デルタ株が流行した2021年7月1日から9月30日における発症予防の有効性と比較したところ、接種からの時間経過を加味しても新型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられ、オミクロン株への置き換わりによる有効性の低下と考えた。 本報告は極めてサンプルサイズが限られているが、公衆衛生学的意義を鑑みつつ、暫定値を報告した。本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、2022年1月1日から2月28日においても、集計できていない情報もあるため、今後結果が変わる可能性があり、随時アップデートした結果を報告する予定である。

Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第3報
掲載日:2022年1月26日
報告者

前田 遥、森本浩之輔(長崎大学熱帯医学研究所)

要約

長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関(病院および診療所)と協力し、新型コロナワクチンの有効性を評価する研究を2021年7月1日から開始した。今回、新型コロナウイルスの変異株B.1.1.529 系統(オミクロン株)が全国で広がり始めた2022年1月1日以降に新型コロナウイルス検査を受けた患者情報を用いて、この期間の発症予防における新型コロナワクチンの有効性について暫定値をまとめた。16歳~64歳において、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンの2回接種完了(2回接種後14日以上経過)による発症予防における有効性を51.7% (95%信頼区間:2.0~76.2%) と推定した。デルタ株が流行した2021年7月1日から9月30日における同値は88.7% (95%信頼区間:78.8%~93.9%)であり、新型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられた。 本報告は極めてサンプルサイズが限られているが、公衆衛生学的意義を鑑みつつ、暫定値を報告した。本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、随時アップデートした結果を報告する予定である。

Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第2報
掲載日:2021年12月1日 / 最終版掲載日:2022年2月2日
報告者

前田 遥、森本浩之輔(長崎大学熱帯医学研究所 臨床研究部門)

要約

長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関 (病院および診療所)と協力し、新型コロナワクチンの発症予防における有効性を評価する研究を2021年7月1日から開始した。今回、2021年7月1日~9月30日の登録患者情報を用いて結果をまとめた。16歳~64歳において2回接種完了 (2回目接種後14日以上経過)による発症予防における有効性は、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンでは88.7% (95%信頼区間:78.8~93.9%)、ファイザー社製ワクチンに限定すると86.7% (95%信頼区間:73.5~93.3%)、モデルナ社製ワクチンに限定すると96.6% (95%信頼区間:72.8~99.6%)と推定された。65歳以上においては、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンの2回接種完了による発症予防における有効性は90.3% (95%信頼区間:73.6~96.4%)、ファイザー社製ワクチンに限定すると85.8% (95%信頼区間:59.4~95.0%)と推定された。今回、ワクチン接種後の時間経過による有効性の減弱を評価することを目的として、16歳~64歳において、ファイザー社製あるいはモデルナ社製ワクチン2回接種完了後1~3か月と4~6か月でわけた解析を実施した。その結果、発症予防における有効性はワクチン2回接種完了後1~3か月で91.8% (95%信頼区間:80.3~96.6%)、4~6か月で86.4% (95%信頼区間:56.9~95.7%)と推定された。 本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、10月以降も研究は継続しており、随時アップデートした結果を報告する予定である。なお、長期サーベイランスを行うことで、接種後からの時間経過、ブースター接種や変異株によってワクチンの有効性がどのように変動するかを評価する予定である。

Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第1報
掲載日:2021年10月5日
報告者

前田 遥、森本浩之輔(長崎大学熱帯医学研究所 臨床研究部門)

要約

現在、国内において実臨床上での新型コロナワクチンの有効性を評価した研究は十分ではない。長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関(病院および診療所)と協力し、新型コロナワクチンの有効性を評価する研究を2021年7月1日から開始した。2021年7月1日~8月31日のデータを用いて暫定結果をまとめたところ、16歳~64歳において、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンの2回接種による発症予防における有効性は86.8%(95%信頼区間:71.0~94.0%)、ファイザー社製ワクチンに限定すると、2回接種による発症予防における有効性は85.6%(95%信頼区間:67.6~93.6%)と推定された。本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、9月以降も研究は継続しており、随時アップデートした結果を報告する予定である。なお、長期サーベイランスを行うことで、変異株やブースター接種によってワクチンの有効性がどのように変動するかを評価する予定である。