拠点紹介
熱帯医学研究所附属アジア・アフリカ感染症研究施設ベトナムプロジェクト拠点は、2006年にベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)内に設置された海外研究拠点です。
ベトナムを中心に様々なプログラムを実施する研究施設としての役割を担い、感染症に関わる知の集積・発信及び人材の育成を目標として活動しています。
研究以外の面においても、熱帯医学や国際保健を志す若手研究者や大学院生、学部学生のOn-the-Job-Trainingの場として活用され、日本にも、ベトナムにも開かれた環境を提供しています。
常駐教職員:ハノイ2名、ニャチャン分室1名
参加研究員:長崎大学から30名、その他研究機関から40名
ベトナムは、北と南で自然環境や動植物、人々の文化や習慣なども異なり、感染症研究において非常に多様性に富んだ国です。蚊媒介性ウイルスや人獣共通感染症をはじめ様々な教育研究の機会があります。一緒に研究してみませんか。
長崎大学熱帯医学研究所(熱研)とベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)との最初の共同研究が実施されたのは、1985年のことです。
それ以来、熱帯医学研究所はNIHEとの30年以上に及ぶ協働関係にあり、特に熱帯医学の分野で長くベトナムでの研究を続けてきました。
1985年~90年代 |
五十嵐章名誉教授がNIHEと最初の共同研究を実施。日本脳炎ワクチン生産技術の及び日本脳炎、デング熱の診断技術の指導、屋外水槽への防除ネット設置試験を実施 |
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2000年 |
「熱帯性感染症の新興・再興の要因とそれに基づく防除対策」という研究テーマで日本学術振興会 (JSPS) の拠点大学交流事業に採択。小児の急性呼吸器感染症の診断に関する研究を実施 |
2006年3月 |
日本政府の無償資金協力により、NIHEに国際基準バイオセーフティレベル3(BSL-3)の実験室が設置される(協力期間:2006年3月~2010年9月) |
2006年7月 |
長崎大学熱帯医学研究所附属アジア・アフリカ感染症研究施設ベトナムプロジェクト拠点ニャチャン分室設立 |
2010年4月 |
「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)」に移行 |
2015年4月 |
「第3期ベトナムにおける感染症制御研究・開発プロジェクト(AMED)」を開始 |
2020年4月 |
「第4期ベトナムにおける新興・再興感染症研究推進プロジェクト(AMED)」を開始 |
For the People‘s Healthとは、ベトナムで公衆衛生に多大な貢献をした人に贈られる最高の栄誉です。
両教授のベトナムにおける日本脳炎、デング熱、マラリアなどの感染症対策への長年にわたる貢献が認められ、2017年に受賞しました。
外務大臣表彰は、国際関係の様々な分野で活躍し、日本国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている個人及び団体の中で、特に顕著な功績のあった個人及び団体について、その功績を称えるとともに,その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的に行われています。 ベトナム拠点は、設立以来、デング熱やインフルエンザ等感染症の制御に向けた予防・診断治療に資する研究、ベトナムをはじめとする各国の高度専門人材の育成等を実施し、感染症研究・予防の発展に貢献しています。 昨今の新型コロナウイルス感染症への対応としては、ベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)からの要請に応じ、診断試薬の提供と診断法にかかる技術協力を行いました。また、ベトナムと共同で、感染の有無を迅速に調べられる検査キットの開発に成功するなど、検査体制の確立と感染拡大防止に貢献しています。 その功績が認められ、令和3年度外務大臣表彰団体部門賞を受賞しました。
吉田レイミント教授は2006年から熱研ベトナム拠点研究プロジェクトに参加し、2017年に熱研ベトナム拠点(ニャチャン分室)に赴任。ベトナム第3の都市ニャチャン市があるカンホア省をフィールドとして、小児呼吸器感染症、母子感染症を対象にコホート研究を実施しています。ベトナム国保健省及びカンホア省保健当局と密接に連携し、ベトナムの小児感染症に関する公衆衛生システムの強化に努めました。
2023年2月、ベトナムの公衆衛生の改善への多大な貢献が認められ、同賞を受賞しました。