住血吸虫症

媒介貝Biomphalaria glabrataを用いて、マンソン住血吸虫・ハムスターモデルが継代維持されている。 海外調査研究は、アフリカ、主としてケニアで行われている。近年の主たる研究成果を紹介する。

マンソン住血吸虫(プエルトリコ産,ケニア産)、ビルハルツ住血吸虫(ケニア産)、 および数種の貝が継代維持されている。近年の研究成果は次の通りである。

1.ミラシジウムの遊泳運動制御機構:cAMPがミラシジウムの体表絨毛運動制御と走化性に関与していること, ミラシジウムの遊泳運動が虫卵の孵化に関与していることを明らかにした。

2.セルカリアの皮膚への侵入機序:セルカリアよりの蛋白分解酵素分泌にプロテインキナーゼCの関与を明らかにした。

3.ビルハルツ住血吸虫症の疫学と対策:1981年よりKEMRIと共同でケニア・クワレ地区で行っているプロジェクトである。 住民の水との接触行動、セルカリアの水中濃度、貝の生態、検尿テープの迅速診断への応用、新しい免疫診断(尿ELISA,COPT変法)、 水道水供与の効果、KAP研究(Knowledge, Attitude, Practices)、衛生教育の効果、超音波画像診断による膀胱腎病変、 貝対策としての環境改善、膀胱癌と肝硬変の頻度等について報告した。現在,排尿困難に関する調査を続けている。