国際保健学分野
国際保健学分野

平成21年度第4回国際連携セミナー


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開催: 平成21年10月1日 熱帯医学研究所 大会議室(坂本キャンパス)

講師: 古瀬 祐気 氏
         東北大学大学院医学系研究科博士課程

演題: 進化速度と分子時計〜考古学に憧れた生物学の話〜


 分子系統学は1960年代にその基本概念が確立し、いまなお進化を続けている「進化」を究める学問である。そのもたらす知見は自然科学のみならず考古学的にも重要であり、その新奇性・創造性は知的好奇心を十二分に満たしうるものである。 しかしながら、生物学的な側面のために考古学者に嫌われ、数式の煩雑さゆえに実験生物学者に疎まれ、大衆の理解を得られずに育った学問であることは否めない。
 本セミナーでは、分子系統学の中でも特に「進化速度・分子時計」に焦点を当てて話してみたい。この考え方によって、「動物と植物がいつ分かれたのか」、「ヒトとサルはいつ分かれたのか」といった、種の分岐年代を推定することができる。数式などは用いずに、「何をしているのか」・「何を明らかにできるのか」直観的に理解できるよう心がける。また、この概念をウイルスなどの病原体に適応することでどのような研究が可能なのか議論したい。分子系統学を発展させるのは数学者たちの仕事であるかもしれないが、彼らによって作られた道具を使用する責務は生物学者(含む、医学者)にあると考える。「宇宙を理解する際の、数学の不合理なまでの合理性」とはアインシュタインの言であるが、生物にもきっと当てはまる。

                                   
               <略歴>
               古瀬 祐気
               1983年 誕生(父方は長崎人)
               2007年 東北大学医学部医学科5年次より
                           東北大学大学院医学系研究科博士課程へ飛び入学
               2009年 現在、同課程3年生
                           来年、学部へ復学し国家試験受験予定







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E-MAIL : y-taro@nagasaki-u.ac.jp