すでに医師として臨床経験を2年以上持つ医師である本専攻の学生は、研究活動に必要な基礎知識・発想法は比較的確実に身に付けている。しかしながら、熱帯病に関する臨床経験は絶対的に不足していることがこれまでの経験を通して明らかになった。そこで、学内で指導を受けつつ論文作成をするという従来のコースに加え、「海外熱帯医学現場での臨床経験・研究活動」という第二の選択肢を設定する。具体的には9月から翌1月までの5ヶ月間を、サンラザロ感染症病院(マニラ市)、バクマイ病院感染症科(ハノイ市)のいずれかにおいて、現地教育指導責任者及び本学から派遣された短期指導医のもと、臨床研修・研究を行う。各病院2名ずつの学生は、外来、入院回診また症例検討会を通して数多くの熱帯感染症症例を経験し、さらにテレビ会議システムによる本学担当教員の定期的指導のもと、それらを症例報告集として作成する。
成果としては、講義、演習で得た知識を実際の場で再確認し、理解を更に深めることができる。さらにそれらの知識を駆使して、複雑な現場の中で臨床症例を分析することを通して、現地の事情に合致した診断、治療、予防の方針を作成する能力を高めることができる。さらには、異文化のなかで英語を駆使しながら現地の医療従事者と共同作業を行うことを通して、国際環境下でのリーダーシップ能力を向上させることができる。
この2点のプログラムの実現により、本専攻の人材育成目標を更に達成することが可能となる。 |