JICA/AMED 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)
"公衆衛生上問題となっているウイルス感染症の把握と実験室診断法の確立(SYMAV)"

研究紹介

ガボン共和国はアフリカ中部に位置し、大西洋に面した日本の本州よりやや小さな国土面積(約7割)をもつ国です。国土は赤道を跨ぎ、85%が熱帯雨林で覆われています。本プロジェクトは、アフリカの現地医療に生涯を捧げたアルベルト・シュバイツァー博士(1952年ノーベル平和賞受賞)が活動の中心としていたランバレネにおいて、ランバレネ医療研究センター(CERMEL)をカウンターパートとし、現地の人達と共に研究を行っています。

ランバレネ周辺地域におけるウイルス感染症の実態把握

シュバイツァー病院やCERMELに来院した熱性疾患患者から採取した検体中のウイルス遺伝子や抗ウイルス抗体を検出することにより、ランバレネ周辺地域におけるウイルス感染症の罹患状況を調査しています。

同定ウイルス(新規ウイルスを含む)の解析

患者検体で検出されたウイルス遺伝子の塩基配列を調べ、過去にガボン共和国で流行した株や近隣諸国で流行した(している)ウイルス株の配列と系統学的に比較することにより、ウイルス株の遺伝学的特徴や由来を明らかにしています。提供される患者検体からは標的とするウイルス以外の新規ウイルスが検出される可能性もあるので、次世代シークエンサーを用いた網羅的なウイルス遺伝子解析も行っています。
更に、患者検体からのウイルス分離も行い、ウイルスの性状解析も行っています。

ウイルス感染症の迅速診断法の開発

現地のウイルス感染症の実態調査の結果から、特に公衆衛生上重要なウイルス感染症に対して、現地の医療機関等で実施可能な検査・診断法を開発しており、現行の診断法と迅速性・感度・特異性・安定性・費用などの項目について比較し評価します。より優れた診断法を検討し、ガボン共和国での臨床現場での普及を目指します。