寄生虫学最前線

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大会長挨拶

ご挨拶

日本寄生虫学会は、寄生虫及び寄生虫学に関する学術の研究、進歩と普及を図ることを目的とし、昭和4年に設立されて第1回学術集会が開催されて以来、この度、第88回大会を開催させていただくこととなりました。
第2次大戦後、先人の活躍によりわが国ではマラリア、フィラリア症、日本住血吸虫症など主要な寄生虫疾患の排除に成功し、土壌伝搬寄生虫症なども現在では公衆衛生上無視できる数となりました。寄生虫疾患は“過去の病気”という認識が一般的ですが、広く世界を見渡せば、いまだにたくさんの人たちが診断や治療の対象となることもなく放置されているのが現状です。世界保健機関ではこのような状況を深刻に受け止め、この10年来顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)という範疇を提唱し、現在20種の感染症等がリストアップされて重点的に対策を講じるべき疾患となっています。
日本にはこれまでの寄生虫病撲滅の実績があり、わが寄生虫学会にも今後の世界的な寄生虫対策への貢献が強く望まれています。その期待とは一体何でしょうか。
日本はG7の一員としての経済的な先進国であるだけでなく、学術的にも高いレベルを維持しており、たくさんの留学生を抱え、常に先進的な科学を推し進める立場にあります。寄生虫学も例外ではありません。我々は世界の期待に応えるべく、常に新しい先進的な技術や知識を発信していかなければなりません。
本大会のテーマは、寄生虫学最前線Frontline of Parasitologyとさせていただきました。寄生虫疾患の制御に対する基礎から臨床、フィールドにおける最先端の情報をこの大会に集約し、熱い議論が展開することを心から願っております。
末筆ながら、大会開催にご協力・ご協賛頂きました関係各位・機関により心よりお礼申し上げます。多くの会員の皆様の大会への参加をお待ちしております。

第88回日本寄生虫学会大会
大会長 平山 謙二
(長崎大学熱帯医学研究所 所長)