免疫病態制御学分野

スタッフ

教授
由井克之
准教授(有期)
水上修作
特任研究員
簡君宇
特任研究員
Cervantes Eleonor Avendo
技能補佐員
川本展香
技能補佐員
谷口真由美
技能補佐員
野口亜紀子

・水上グループ



研究活動

本分野は、マラリアに対する宿主応答の解析を担当し、特にマラリアワクチン開発研究に注力している。
マラリアに対しては既に多くのワクチン開発研究がなされており、2022年にはモスキリックスがWHOに事前認証されたが効率は低く、更なる研究は未だ必要とされている。
マラリアの原因となるマラリア原虫の生活環は、ヒトの体内では肝細胞期と赤内期に分かれている。赤血球期に対しては、薬剤耐性株の出現という大きな問題は抱えているが、これまでに多くの薬が開発されている。これに対し、肝細胞期に使用できる薬剤はわずかしかなく、それらの薬剤も副作用を示すものに限られている。
肝細胞期マラリアに対しては、Tリンパ球が主体となる細胞性免疫がその防御に重要であると考えられている。しかしながら、これまでのワクチン開発研究の多くは抗体が主体となる液性免疫の誘導を目指したものであり、これと対をなす細胞性免疫の誘導に重きを置いたものは多くなかった。
本分野では、肝細胞期マラリアを標的とした細胞性免疫誘導ワクチン開発研究を行っている。これに適したワクチン抗原、抗原デリバリーシステムなどの選定に加えて、免疫系を活性化するアジュバント物質、簡便かつ効果の見込まれる免疫方法などの検討も行っている。
我々は、マウスマラリアモデルを用いて研究を開始したが、ヒトに感染する熱帯熱マラリアを用いた研究への応用及びワクチン開発に結び付く研究結果を得ることを目指している。

最近の主な業績

  1. Tayama et al. Trop Med Health 2023;51(1):12.
  2. Mizuta et al. Chem Med Chem 2023;18(7):e202200586.
  3. Kawaguchi et al. J Phram Sci 2023;112(5):1401-1410.
  4. Kamiya et al. Pharamaceutics 2022;14(11):2357.
  5. Ogawa et al. J Control Release 2022;348:34-41.

業績一覧

・由井グループ



研究活動

マラリア流行地の住民は、感染を繰り返すことにより長時間かけてマラリアに対する抵抗性を獲得する。この免疫記憶は、無症候性感染と共に維持され、マラリア原虫が完全に排除されると失われると考えられているが、詳細は不明である。私達は、マウスマラリアの実験モデルを用い、マラリアの免疫記憶維持の制御機構に関する基礎研究を行なっている。特に、制御性サイトカイン、インターロイキン27が免疫記憶の制御に関わるメカニズムの解明に取り組んでいる。また、マラリア感染対策の進むフィリピンをフィールドとし、感染の免疫記憶がどの様に維持されているのか調査研究を行なっている。これらの研究を通し、次世代型マラリアワクチンの開発や流行地のマラリア再感染対策に貢献する。

最近の主な業績

  1. Macalinao et al. Lancet Reg Health West Pac 2023.In Press.
  2. Ntita et al. Int Immunol 2022;34:21-33.
  3. Enders et al. Curr Res Immnol 2021,2,79-92.
  4. Jian et al. Int Immunol 2021;33:409-422.
  5. Yui et al. Parasite Immunol 2021;43:e12763.