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活動報告

長崎大学GCOE国際シンポジウム
"The 3rd Nagasaki Symposium on Tropical and Emerging Infectious Diseases and The 9th Nagasaki-Singapore Medical Symposium"




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  • 2009年10月10日(金)と11日(土)に、The 3rd Nagasaki Symposium on Tropical and Emerging Infectious Diseases/The 9th Nagasaki-Singapore Medical Symposium合同大会を長崎大学坂本キャンパス良順会館にて開催しました。 初日は、シンガポール国立大学のJohn Wong博士により、シンガポールにおけるシンガポール大学の役割や、研究の方向性、重点領域などの講演がありました。後日、シンガポール側の参加者にとっても研究費の流れなどがわかり、有意義な講演であったと聞きました。続くセッションでは理研感染症研究ネットワーク支援センター長の永井美之博士がアジア・アフリカ感染症研究ネットワークについて、設立からこれまで4年間の進捗状況についての話をされ、引き続き、長崎大学熱帯医学研究所所長の平山謙二博士より長崎大学・感染症グローバルCOEの目的と戦略について話がありました。午後は北里大学生命科学研究所の大村智教授の記念講演から始まりました。フィラリアなどの蠕虫に対する特効薬であるイベルメクチンの発見などの講演は非常に興味深いものでした。マラリアのセッションでは、シンガポール南洋理工大学のPeter Preiser、Zbynek Bozdech、シンガポール国立大学のKevin Tan、長崎大学のRichard Culleton、金子修が発表を行いました。定量プロテオーム解析などを含めスケールが大きな研究が多いように思いました。初日の最後のセッションである特別臨床講演では、国立感染症研究所の宮崎義継博士が現代の真菌感染症の特徴を、シンガポール国立大学のDale Fisher博士がポータブル輸液セットによる在宅医療について講演されました。懇親会の場でも、若手研究者は招待講演者と研究内容について議論し、また、シニアの方々は日本・シンガポールの組織運営の違いなどについて意見を交わしたりと、活発な交流が行われていました。  2日目には南アフリカ共和国National Institute for Communicable Diseases of the National Health Laboratory ServiceのJanusz Paweska博士が発表を行う予定でしたが、一週間前ほど前に南アフリカ共和国で未知の出血性ウイルス感染による4人の死者が出、その対策のために来日することができなくなりました。その旨を長崎大学の森田公一教授がPaweska博士が研究を行っているP4施設等の写真を示しながら説明しました。Paweska博士の不在により、未知のウイルスの恐ろしさがかえって現実味を増し、聴衆一同襟を正して説明に聞き入りました。  本シンポジウムは元々、長崎・シンガポール感染症シンポジウムとして計画が進められていましたが、多くのシンガポールからの招待講演者に加えて、スウェーデンからの参加や、現在はシンガポールの研究機関に所属していても出身地はドイツやチェコスロバキア、フランス、オーストラリアという研究者も多く、国際色豊かな会でした。会期を通じて最前列に座られていた永井美之博士からの質問を始めとし、多くの聴衆からの質問があり、活発な討論が行われていました。長崎・シンガポール間の、あるいは長崎・スウェーデン間のさらなる共同研究の発展と推進を誓い盛会のうちに全スケジュールを終えました。  金子 修(熱帯医学研究所・原虫学 教授)