※ これは9月20日現在の予定であり、予告なく変更されることがあります。

L1 特別講演: 動物由来感染症対策

日時:2006年10月11日(水)13:50-14:50
場所:第1会場(大ホール)
座長:竹内 勤(慶応義塾大学 医学部)
動物由来感染症対策
Zoonosis control in Japan
吉川 泰弘1
1東京大学大学院農学生命科学研究科   
世界的な問題を起こしている高病原性鳥インフルエンザやSARS、BSEを始め、近年これまでに知られていなかった種々の新興感染症が出現している。そして、その多くが動物由来感染症であることが分かってきた。動物由来感染症はこれらの新興感染症が出現する以前にWHO、FAOの専門家会議で確認されているだけで150種類以上あり、現在は700種類以上あると報告されている。
国際貿易の伸展により我が国にも世界各地から動物や動物由来製品が輸入されており、動物由来感染症が侵入するリスクが指摘されている。また、国内においても、高齢化、都市への人口集中、エキゾチック動物のペット化等、社会の変化と人の行動様式の多様化から、従来にない動物由来感染症の発生が強く懸念されている。動物由来感染症は、動物から直接、あるいはベクターや汚染環境等を介して間接的に人に伝播することから、予防対策を講ずる上で検討すべき事項は多岐にわたる。特に従来のように人や家畜に侵入され、その結果、下流から分析を開始するのではなく、自然宿主の生態学、疫学のような上流からの分析が必要である。またリスクの実態の解明や発生予測を的確に行うには、科学的なリスク評価法の確立が必要であり、またリスク管理・リスクコミュニケーション等を含め多くの課題が残されている。統合的、国際的対応が迫られている。