衛星ワークショップ 「紛争と健康問題―国際保健・国際協力の視点から」
日時 平成13年10月23日(火)午後5時―午後7時半
プログラム(敬称略)
中村 哲 (ペシャワール会医師)
千田 悦子 (UNHCRカンダハル事務所フィールドオフィサー)
「アフガンの女性と子供の生活と健康の現状」
甲斐 達朗 (千里救命救急センター副所長)
「複合災害としての戦争−難民診療の経験から」
粉川 直樹(日本赤十字国際救援課長)
「赤十字の人道的支援活動」
指名発言
若井 晋 (東京大学国際地域保健学教授)
山本保博 (日本医科大学救急医学教授)
石川信克 (結核予防会結核研究所国際協力部長)
信友浩一 (九州大学大学院医学研究院医療システム学教室教授)
若杉なおみ (国立国際医療センター研究所疫学統計研究部部長) ほか
国際保健学は、世界の人々の健康を守ることを目標に研究と教育を推進してきました。とくにアルマアタ会議以降は、健康における格差と不公平を解消するために何がなされるべきか、を共通のテーマとして取り組んできました。 多くの研究が指摘しているように、貧困と災害、そして急増する国内・国際紛争が、いのちと健康を奪う大きな要因になっています。
戦争や武力紛争がもたらす健康問題は受傷と餓えによる悲惨な死にとどまらず、長期にわたって持続的反復的に人々を苦しめるもので、紛争を防止する以外に効果的な予防手段はありません。 このような過去の知見から、現在では、「国家」を中心とする従来の安全保障の枠組みを超えて、そこで生活する「人間」(とりわけ守られることがもっとも少ない社会的弱者)を守ることこそが国際社会と国際協力の任務であるとの認識が強まり、「人間の安全保障」という考え方がうまれました。 いのちと健康は人間の安全保障の目的としてもっとも重要なものです。
おりから始まったアフガンの対テロ戦争では大量の飢餓死が発生するだろうといわれています。また、日本の行動のありようによっては、人道主義と平和主義を掲げてきた日本の国際協力や人道的援助は大きな転換を強いられることになるでしょう。 このような事態を前にして、国際保健学や国際協力に携わるものとして、何ができ、何をすべきなのか、難民の診療や人道的支援活動に従事する先達の経験と教訓に学びながら、ともに考えてみたいと思います。
ワークショップ世話人