ベトナム拠点

NIHE-NUフレンドシップラボ(NNFL)

長崎大学ベトナム拠点は文科省委託事業の新興・再興感染症研究拠点形成プログラムの一環として平成17年度、長崎大学熱帯医学研究所とベトナム国立衛生疫学研究所(National Institute of Hygiene and Epidemiology, NIHE)との協力の下NIHE内に設立されました。

ベトナム国立衛生疫学研究所(本館)

1926年 ハノイ・パスツール研究所として設立
1945年 ベトナム政府に移譲、Vietnamese Institute of Microbiology(ベトナム微生物研究所)と改名
1961年 Hanoi Institute of Hygiene and Epidemiology(ハノイ衛生疫学研究所)と改名
1998年 現在の名称に改名
日本でいうならば国立感染症研究所のような機能をもち、疫学、医微生物学、免疫学、分子生物学分野における科学研究の推進、ワクチン及び治療薬等の開発、感染症対策に関連する研修や教育プログラムなどを実施しており、国外の研究機関との窓口となっている。

平成18年3月にはNIHE-長崎大フレンドシップラボが整備され多くの研究がこの研究室を中心に行われるようになりました。

旧フレラボ風景

平成18年3月整備された旧NIHE-長崎大フレンドシップラボ。鳥インフルエンザウイルスに対する中和活性物質を分離しているところ。左から、Le Thi Qinh Mai博士、山城哲教授、上地玄一郎博士。

平成20年度からNIHE敷地内に新たに建設された実験棟ハイテクセンターにラボを移し、研究者が6名(教授2名、助教4名)、事務職員1名、現地雇用の秘書1名とラボアシスタント6名が常駐しています。

ハイテクセンター

平成20年度からこの建物の2階にNIHE-長崎大フレンドシップ研究室が移転している。
3階部分には日本政府の無償資金援助によってBiosafety Level-3 (BSL-3)実験室が4室整備されており、封じ込めを要する微生物を用いた実験や未知の病原体の解析などが容易にできる環境となっている。

新フレラボ内

52平米のラボスペースには病原体の遺伝子解析や蛋白解析に必要な多くの機材が設置されている。ハイテクセンターの2階部分は主に病原体を扱う実験室(腸管細菌、リケッチア、エンテロウイルス、デングウイルス)が配置されており、他の研究室のNIHEスタッフも共同ラボのように利用している。

フレラボ オールキャスト

後列左から、竹村太地郎助教(アジア・アフリカ感染症研究施設)、堀田こずえ助教(アジア・アフリカ感染症研究施設)、Tran Thi Nga(NNHLアシスタント)、山城哲教授(アジア・アフリカ感染症研究施設)、Bui Thu Tra(秘書)、角田隆助教(病害動物学)、中尾隆宏(事務担当)、長谷部太教授(ウイルス学)、前列左から、Pham Hoai Linh Ly(NNHLアシスタント)、時沢亜佐子助教(アジア・アフリカ感染症研究施設)、Ung Thi Hong Trang(NNHLアシスタント)、Dang Thi Dinh(NNHLアシスタント)。個性豊かな集団です。

ベトナムの豊富な研究試料を活用することにより動物由来感染症研究、昆虫媒介性感染症研究、経口感染症研究、ヒト-ヒト感染症研究の4つの分野において活発な研究活動が継続的に行われています。

コウモリ調査風景
ベトナム中部ハイランドにあるTay Nguyen Institute of Hygiene and Epidemiology(TIHE)の協力を得て、洞窟、胡椒畑や居住区に棲息するコウモリを捕獲し、TIHE内の実験室で採血を行っているところ。コウモリ調査はベトナム北部と中部を中心に行っている。ここで捕獲したフルーツコウモリの血清にもニパウイルスやSARSコロナウイルスに対する抗体が見つかっている。採血した後で、外部寄生虫の検査やコウモリ種の同定のための計測が行われる。

デング熱ウイルス媒介蚊分布調査風景
ハノイからホーチミンまでのベトナム全土に及ぶ国道沿いに点在している古タイヤに溜まった水に棲息するボウフラを採集しているところ。ベトナムを南北にわたって、3000キロを車で走破しながらの調査だった。捕まえたボウフラは研究室に持ち帰り種の同定を行い、ベトナム全土のデング熱媒介蚊の最新の分布地図が作成された。ベトナムのデング熱対策に貴重な資料を提供することができた。

インフルエンザウイルスの野外調査

経口感染症研究共同者
左からDr. Nam、Dr. Tu (Hai Phong Children's Hospital)

ニャチャン分室

長崎大学ベトナム拠点は、長崎大学フィールド臨床疫学の活動拠点として、平成18年7月にベトナム中南部ニャチャンにあるカンホア県保健局内に長崎大学分室を開設しました。ここでは以下のような活動を展開しています。

ベトナム中南部、山と海岸線に囲まれた比較的人口流動の少ないカンホア省ニャチャン市、ニンホア郡の大部分の地域(7万6千世帯、人口36万人)を長崎大学のフィールドラボラトリーと位置づけ、人口世帯調査、疾病行動調査を行い、コミュニティーレベルで感染症に関する背景因子を調査してきました。

さらに、これらの基礎疫学情報とリンクしたかたちで、この地域唯一の総合病院であるカンホア省総合病院に重症小児感染症のモニタリングシステムを立ち上げました。そして長崎大学熱帯医学研究所臨床医学分野より臨床医を常駐させ、現地の小児科医とともに年間1000症例規模の小児呼吸器感染症の臨床研究を行っております。

また、同病院検査部およびNIHEの協力を得て、小児の重症呼吸器感染症患者に対して19種にわたる呼吸器ウイルス、細菌性病原体の検出システムを確立し、各呼吸器病原体の季節変動の疫学的特徴を記述し、病原体特異的な肺炎発症に関連する環境因子の解析を行っています。

平成21年からは小児科医を現地へ長期派遣し新生児の死亡原因の調査を開始しました。また、4月には同病院で出生した新生児を対象とした数千人規模のバースコホート調査を開始させました。この大規模コホート研究を通じて、小児呼吸器感染症発症の宿主因子の解析、コホート児の長期にわたる健康状態の追跡(肺炎、下痢、デング熱など)、先天性感染症の発症追跡等の調査へ発展させてゆく予定です。そして、これらの地道な研究活動を続けることにより、将来的には、東南アジアにおける小児重症肺炎予防のためのワクチン開発に貢献できることを目指しています。

最後に、現地に長期滞在している長崎大学の臨床医は、現地の小児科医とともに診療活動を行い肺炎診断の標準化を促進し、医学生や若手医師に対する臨床教育活動にも携わってきました。また同院の放射線科医に対するレントゲン写真読影トレーニングコースや細菌検査技師に対する培養技術の指導も行っています。研究面のかたわら、教育臨床面からも途上国における医療をサポートしていきたいと思っております。

*上記カンホア保健プロジェクトについて、もっと詳しく知りたい方は→こちら

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