下痢症研究

研究課題

ベトナムにおける下痢症感染症研究究

研究概要

①ベトナムにおけるビブリオコレラの包括的な研究
近年我が国へのベトナムを中心とする東南アジア諸国からの水産物の輸入が増加している。検疫システムにより汚染食品の輸入は一定の歯止めがあるが、viable but non-culturable(VNC)状態の細菌の存在、標的遺伝子の限定等の理由から検疫体制は未だ十分とは言い難い。近年の微生物ゲノム解析手法の発展により、このようなVNC細菌を含むと環境微生物の包括的解析が可能となった。
本研究では今後ますます海産物の輸入等日本との食に関わる関連が深まると予想されるベトナムにおいて、生活用水や水産物生産地等から水検体を収集し、ビブリオ属細菌の分離とゲノム解析、微生物叢構成細菌の包括的メタゲノム解析、薬剤耐性遺伝子を含むヒト病原細菌と環境由来細菌の間における水平伝達遺伝子の解析を行う。そうする事により我が国の食の安全に関して貢献する事が可能となる。またコレラ菌病原遺伝子群を網羅的に解析し、ヒト由来株と環境株との比較を通じて、コレラ菌の病原性およびその獲得に関する解析を進める。ベトナムには多くの在留邦人が居住し、観光客も近年増加している。ベトナムやその周辺地域のコレラ菌の病原関連因子の特徴を精査しその伝播経路等を推定する事はコレラ菌感染防止にも寄与するものと思われる。

②北部ベトナムにおけるコホートを用いた下痢症感染症および腸内細菌叢に関する研究
下痢症は最大の「顧みられない疾患」の一つと見做され大きな社会問題とされている。北部ベトナムナムディン省に病院基盤および住民基盤の下痢症研究コホートを運営し、広範囲にわたる下痢起炎微生物の検出を進め疫学情報と併せて解析し、北部ベトナム農村地域における下痢症の全体像とその危険因子を推定する。本研究をベトナムで実施する事により本邦における将来的な下痢症起炎微生物の変遷の推定、下痢症アウトブレイク時の伝播、危険因子の推定に寄与できるものと思われる。得られた情報を国立感染症研究所と共有する。地域住民各年齢層の腸内細菌叢の解析、および様々な起炎微生物で惹起される下痢症や抗生剤治療後の腸内細菌叢の回復過程を解析し、回復支援の製剤等を探索する。復支援製剤の開発に関するシーズを創薬支援戦略室と連携しながら模索する。

③ロタウイルスワクチンが下痢症ウイルスによる疾病負担及び流行株に与える影響に関する研究
ベトナムでは、ロタウイルス下痢症により年間20万人の小児が入院し、数千人が死亡していると推定され、ベトナム政府は肺炎球菌ワクチンとともにロタウイルスワクチンの定期接種化を検討している。ロタウイルスワクチンの広範な使用が進展すれば、(a)ロタウイルス下痢症の疾病負担がどのように減少するか、(b)乳児急性下痢症の起因病原体としてのロタウイルスとノロウイルスの相対的重要性にどのような変化を及ぼすか、(c)ワクチン使用後も残存して流行するロタウイルス野生株の遺伝子型分布と遺伝子型構成に、とくに種間伝播との関連を念頭おいて、どのような変化を及ぼすかという課題に対する正確で迅速な答えが、公衆衛生政策を的確に遂行する上で必須である。本研究では、このような情報の取得を継続的なモニタリングを行い明らかにする。また、本研究によって、ロタウイルスにおける継時的変異蓄積や遺伝子分節再集合による変異株の出現機構を特徴づけ、病原性の変化や防御免疫をまぬかれる機構の解明という科学的知見の獲得を目指す。

研究参加者

長崎大学

研究者氏名 所属 業務内容
山城 哲 熱帯医学研究所 教授 下痢研究班研究統括 下痢起炎微生物同定統括離
竹村 太地郎 ※ 熱帯医学研究所 助教 環境中のビブリオ等の解析
橋爪 真弘 熱帯医学研究所 教授 下痢に関する疫学情報の解析

※ベトナム赴任者

研究分担者・協力者

 
研究者氏名 所属 業務内容

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