デング熱研究

研究課題

ベトナム拠点を活用したデング熱対策に資する研究

研究概要

① デングウイルスの網羅的解析による病原因子の探索と創薬開発への応用
デング熱の重症化におけるウイルス側因子を解明する為、ベトナムにおいて軽症、重症のデング熱患者の血液中のウイルス、蚊やヒト細胞で分離されたウイルス株について全ゲノム解析を実施してデータベースを構築・解析することにより、患者血液中に存在するウイルス準種(ウイルスの多様性)と重症化との関係、およびそれと関連するウイルス遺伝子および宿主側の応答までを解析する。さらに感染症研究所との共同でマーモセットの動物感染実験系で重症化機序を再現し、抗ウイルス薬の効果判定システムを開発する。またこれと並行して、ベトナムで分離されるウイルスを用いて、医薬基盤研究所の協力により日本に存在する発酵系産物ライブラリーの中から、抗デングウイルス薬の開発を実施する。疫学情報は感染症研究所と適宜に共有する。

② デング熱重症化因子の解明とその臨床応用に関する研究
・病院コホートを用いた重症デング熱(ショック・大出血・多臓器不全症候群)患者の早期予測因子の解明:
デング熱による死亡を予防するためにWHOは2009年に新たな診断基準を定め、デング熱患者のうち、警告徴候(Warning sign)を呈する者を要注意群として入院加療することを推奨した(World Health Organization. Dengue: Guidelines for Diagnosis, Treatment, Prevention and Control: New Edition. 2009)。これにより重症デング熱を発症する可能性のある者の検出感度を上げることに成功したが、一方特異性は低下し、より特異性の高い予測因子の同定とそれを用いた診断キットの創出が期待されている。本研究では、同定される予定の患者血漿中の重症デング熱予測因子の情報から、早期予測キットを開発し、重症デングの治療や予防法の開発へと発展させる。

③ デングウイルス媒介蚊の防除介入試験と観測システムの構築
2014年の東京でのデングウイルス媒介蚊駆除では、成虫を対象にした殺虫剤の空中散布が行われたが、殺虫剤の拡散による環境への影響が懸念された。そこで、本研究では使用を蚊の繁殖地に限定できる昆虫成長抑制剤をもとにした新しい殺虫剤の効果試験をベトナム国内で実施する。この殺虫剤は、昆虫の成長を抑制する幼若ホルモンの成分をもとにしているため、昆虫以外の生物には影響がない。また、媒介蚊の繁殖地は、人工容器に限られているため他の昆虫への影響も少ない。さらに、効果の持続性を高めるような工夫がなされている製品が開発されているため、労力とコストの低減が期待できる。 得られた情報は、国立感染症研究所と共有し、日本での対策に役立てる。

④ 中部ベトナムにおけるデング熱の疾病負荷と予想されるデングワクチンの影響
世界保健機関は世界で年間約1億人がデング熱を発症しその2.5%が死亡していると推計しているが、実際世界全体で何人がデングウイルスに感染しているのかははっきりわかっていない。また、デング熱の社会における疾病コストは、労働所得の損失や生産性の低下から医療探索にかかる費用や医療の直接費用にわたる大きなものである。近年デングワクチンの候補が報告されてきた。ゆえに、ベトナムにおいて住民レベルでのデング熱の疾病負荷を調査し、デングワクチンの影響の可能性を見定めることは重要である。ベトナムのデング熱の臨床疫学情報と本研究の知見は国立感染症研究所と共有されることになる。

研究参加者

長崎大学

               
研究者氏名 所属 業務内容
森田 公一 熱帯医学研究所 所長 ベトナム拠点を活用したデング熱対策に資する研究の総括
長谷部 太※ 熱帯医学研究所 教授 ベトナムでのデング熱疫学調査とデングウイルスの分離とウイルス準種の解析
余 福勲 熱帯医学研究所 助教 デング患者血清の抗体検査および、新規診断法の開発
鍋島 武 熱帯医学研究所 助教 デングウイルス遺伝子の次世代シークエンサーによる網羅解析と分子疫学
早坂 大輔 熱帯医学研究所 助教 抗デング薬のin vitroスクリーニング
Moi Meng Ling 熱帯医学研究所 准教授 デング熱動物実験系の構築と抗デング薬の評価
平山 謙二 熱帯医学研究所 教授 デング熱の重症化予測因子の同定とその臨床応用
NGUEN HUY TIEN 熱帯医学研究所 准教授 デング熱の重症化予測因子の同定とその臨床応用
水上 修二 熱帯医学研究所 助教 デング熱の重症化予測因子の同定とその臨床応用
皆川 昇 熱帯医学研究所 教授 デングウイルス媒介蚊に対する新型殺虫剤の効果試験
角田 隆※ 熱帯医学研究所 助教 デングウイルス媒介蚊に対する新型殺虫剤の効果試験
川田 均 熱帯医学研究所 助教 デングウイルス媒介蚊の殺虫剤抵抗性の観測
比嘉 由紀子 熱帯医学研究所 助教 デングウイルス媒介蚊観測システムの開発と設置
二見 恭子 熱帯医学研究所 助教 デングウイルス媒介蚊の種構成と遺伝情報の観測
砂原 俊彦 熱帯医学研究所 助教 データ解析
吉田 レイミント 熱帯医学研究所 准教授 中部ベトナムにおけるデング熱の疾病負荷と予想されるデングワクチンの影響の研究統括
有吉 紅也 熱帯医学研究所 教授 中部ベトナムにおけるデング熱の疾病負荷と予想されるデングワクチンの影響の研究の総合アドバイス
橋爪 真弘 熱帯医学研究所 教授 デング熱疫学データ解析
Le Nhat Minh 熱帯医学研究所 産学官連携研究員 中部ベトナムにおけるデング熱の疾病負荷と予想されるデングワクチンの影響の研究のラボ検査およびデータ解析

※ベトナム赴任者

ベトナム側

研究者氏名 所属 業務内容
作成中

研究分担者・協力者

研究者氏名 所属 業務内容

活動内容トップへ戻る≫