臨床研究

研究課題

大規模コホートおよび病院を基盤にした臨床疫学研究

研究概要

(1)大規模コホートに関する研究

1.呼吸器感染症、デング、下痢症などの重症化と関連する宿主遺伝因子の同定。
バースコホート登録児の遺伝情報解析、2歳児検診と病院受診状況を追跡する。集積したデータを用いて疫学的分析を行う。さらに平成25年度は平成24年度に2歳児検診に収集した血漿を用いてB型肝炎の感染の有無、HBs抗原ワクチンの効果を明らかにし、感染成立・感染防御に関して、これまでに解析しているHLAをはじめとする宿主遺伝子の個人差がどの程度関与しているかを調査する。

2.ベトナム小児における、Hibワクチン導入効果の同定。
中部ベトナムにおける呼吸器感染症/肺炎による入院症例、ならびに健常児におけるHibキャリアーが平成22年度に導入したHibワクチン導入前後でどのように変化するかを調べるため、カンホア総合病院における小児呼吸器感染症サーベイランスを継続する。平成25年度は平成24年度健常児1000人から収集した検体検査の解析を行い、Hibワクチンの肺炎に関する効果の検討を行う。

(2)ホーチミンでのデング熱重症化の免疫遺伝学解析

1.デング出血熱を感染早期に予測する因子の同定。
平成24年度に引き続きBen Tre病院での患者対照研究を続行する。
1.1 平成24年度までに入院時から24時間ごとにサンプリングを行ったショック症候群および対照となるデング出血熱の各4名の発熱初期の血漿を準備することができたので、これら4X4の血漿タンパクのプロテオーム解析をLC-MS/MS法により解析し、早期に重症化を予測する因子の同定を開始する。2年をめどに同定したタンパクの予測因子としての確認実験を前向き試験で行い、尿と唾液における検証も行う。またこれまでに報告した遊離DNAやマスト細胞顆粒因子などについても今回採取した詳細な時系列サンプルによりその動態を解析する。重症化予測因子が明らかになれば直ちに早期診断キットとして製品化を提言する。
1.2 T細胞NK細胞サブセット解析は平成24年度に最初の40例ほどの解析が修了し、AAフォーラムで発表したが、特にウイルス特異的なCTLの増加が重症化抵抗性と相関することに注目し、これらのT細胞の認識するウイルスペプチドを同定し症例を増やしたのちに2年以内に論文として発表する。ヒトのウイルス急性感染期の防御免疫機構の解明につながるインパクトの高い研究となりうる。

2.デングショックの再発例の病態解析
再発性のデングショックについては平成24年度は休止したが、後ろ向きの調査を再開し、その本態が不十分な補液によるのか、それ以外の要因によるのかについて結論を導き本年度中に論文にまとめる。病院における患者の治療方針の決定に重要な情報を与えるものである。

(3)臨床疫学情報集積システムの構築による不明熱の解析

ベトナム北部における不明熱疾患の病原体同定、社会的リスク因子を解明するためハノイ市バクマイ病院における不明熱の前向き研究を継続する。平成25年度は不明熱疾患患者を700例集積し、収集した臨床検体を微生物学的に解析することで、その病原分布を詳細に解明する。



研究参加者

長崎大学

研究者氏名 所属 業務内容
吉田 レイミント 熱帯医学研究所 准教授 研究グループ統括、小児呼吸器感染症に対するワクチン介入研究、臨床疫学情報集積システムの構築による不明熱の解析
平山 謙二 熱帯医学研究所 教授 ヒトおよび病原体ゲノム多型情報管理
有吉 紅也 熱帯医学研究所 教授 呼吸器感染症と不明熱に対する臨床疫学情報の管理
森内 浩幸 大学院医歯薬学総合研究科 教授 バースコホート研究、先天性感染検査と解析
橋爪 真弘 熱帯医学研究所 教授 呼吸器感染症研究のデータ解析
安波 道郎 熱帯医学研究所 教授 感染症宿主原体ベクターゲノムの多角的解析
鈴木 基 熱帯医学研究所 助教 呼吸器感染症と不明熱に対する臨床疫学情報の管理
樋泉 道子※ 熱帯医学研究所 産学官連携研究員 バースコホートデータ解析、フィールド整備
Nguyen Huy Tien 熱帯医学研究所 准教授 デング出血熱臨床研究
Shyam P. Dumre 熱帯医学研究所 助教 デング出血熱臨床研究
白水 里奈 熱帯医学研究所 技能補佐員 呼吸器感染症の研究補助
切江 満代 熱帯医学研究所 技能補佐員 呼吸器感染症の研究補助

※ベトナム赴任者

ベトナム側

研究者氏名 所属 業務内容
Dang Duc Anh ベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE) 副所長 プロジェクトに関し、臨床研究に関するNIHE側代表者
Vu Thi Thu Huong NIHE 細菌学部門 研究員 臨床研究に関するNIHE側研究協力者
Tran Ngoc Huu ホーチミン・パスツール研究所 所長 臨床研究に関する研究協力者
Vu Thi Que Huong ホーチミン・パスツール研究所 ウイルス学部門 部長 臨床研究に関するNIHE側研究協力者 検体採集、ウイルス分離、血清学的解析
Nguyen Thi Phuong Lan ホーチミン・パスツール研究所 免疫学・微生物学部門 室長 臨床研究に関するパスツール研究所側研究協力者
Nguyen Tho Duoc ベトナム西部高地衛生疫学研究所 所長 臨床研究に関するTIHE側研究協力者 検体採集
Nguyen Truong Son チョーライ病院 院長 臨床研究に関する研究協力者
Tran Quang Binh チョーライ病院 感染症科 部長 臨床研究に関する研究協力者
Ha Manh Tuan ホーチミン第2小児病院 院長 臨床研究に関する研究協力者
Ho Lu Viet ホーチミン第2小児病院 国際共同研究 部長 臨床研究に関する研究協力者
Tran Thi Thuy ホーチミン第2小児病院 感染症科 部長 臨床研究に関する研究協力者
Nguyen Qaung Tuan バクマイ病院 感染症科 副部長 臨床研究に関する研究協力者
Pham T. Thuy バクマイ病院 感染症科 副部長 臨床研究に関する研究協力者
Trinh Thi Ngoc バクマイ病院 感染症科 主任医師長 臨床研究に関する研究協力者
Nguyen Thi Thuy Ai カンホア総合病院 微生物検査部 部長 臨床研究に関する研究協力者
Le Huu Tho カンホア省保険局 副所長 臨床研究に関する研究協力者

研究分担者・協力者

研究者氏名 所属 業務内容
渡邊 直熙 慈恵大学医学部 臨床研究グループの協力者 マスト細胞分泌タンパク解析
古田 隆久 東京大学医科研 感染遺伝学分野 助手 臨床研究グループの協力者 マスト細胞分泌タンパク解析

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