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原虫学分野

マラリアは世界の熱帯・亜熱帯地域で流行する重篤な原虫感染性疾患であるが、ワクチンはなく、薬剤耐性原虫が問題となっている。当分野では、マラリア原虫の生物としての基礎的な理解がマラリア制御のためのツールの開発に必要と考え、寄生適応のために原虫が進化させてきた様々な分子機構の解明を中心テーマとして、ヒトのマラリア原虫やネズミマラリア原虫、サルマラリア原虫を用いて研究を進めている。マラリア原虫は赤血球を認識した後に、赤血球との間で強固な結合を形成し、続いて寄生胞を形成しつつ赤血球内に侵入する。当分野の主要なテーマとして、この赤血球侵入の各ステップで利用される分子と各ステップをつなぐシグナルを明らかにすることを目指している。また、マラリア原虫は寄生した赤血球を接着しやすくすることで宿主防御機構から逃れ、また、それにより重症化する。原虫による赤血球改変機序を理解する研究も分野の大きな研究テーマである。

Department of Protozoology
カルシウム・バイオセンサーを発現する熱帯熱マラリア原虫。カルシウム依存性ATPase阻害剤を投与するとFRETシグナル強度が投与前(左)から投与後(右)に変化し、カルシウム濃度が高くなったことが分かる。シグナル強度は疑似色で表わしている。
 
Department of Protozoology
蛍光抗体法により、熱帯熱マラリア原虫で発現させた組換えタンパク質(緑)が、マラリア原虫が赤血球内に構築するマウレル裂のタンパク質(赤)と共局在を示すことがわかる。青は原虫の核。

スタッフ

  • 教授 金子修
  • 講師 上村春樹
  • 助教 矢幡一英
  • 助教(有期) 麻田正仁
  • 特任研究員 竹田美香
  • 特任研究員 ハッサン ハキミ
  • 特任研究員 外川裕人
  • 特任研究員 クワメ クミ アサレ
  • 研究支援推進員 田中玲子
  • 技能補佐員 木下美紀
  • 技能補佐員 佐倉桃子
  • 大学院生 ベン イェディ アベル チタマ
  • 大学院生 石﨑隆弘
  • 大学院生 ナッタワット チャイヤウォン
  • 協力研究員 ジェッセ ギタカ ジヒア

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研究活動

他にも、世界各地で収集した試料を用いたマラリア原虫の分子進化や薬剤耐性遺伝子の分子疫学、三日熱マラリア原虫の休眠現象の解明、偶蹄類マラリア原虫を用いた新規マラリアモデルの確立といった研究も進めている。マラリアに加えて、南米で問題となっているシャーガス病を引き起こすトリパノソーマ原虫のトランスシアリダーゼの機能と発現機序や環境適応機構に関する研究、マラリア原虫と近縁で畜産分野で問題となっているバベシア原虫の細胞侵入と細胞修飾の分子機構、ピロプラズマ原虫の遺伝子改変技術開発についての研究も行っている。


   最近の主な業績
1. Kegawa et al., Parasitol Int., 67: 706-14, 2018.
2. Asare et al., Parasitol Int., 67: 481-92, 2018.
3. Kaewthamasorn et al., Sci Rep., 8: 5827, 2018.
4. Asada et al., Int J Parasitol Parasites Wildl., 7: 44-7, 2018.
5. Gitaka et al., Malar J., 16: 98, 2017.

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