寄生虫学分野
感染症は今なお人類共通の大きな脅威であり,とくに貧困に喘ぐ熱帯地域ではその自然・社会環境と相俟って猛威を振るい続けています。寄生虫疾患の特徴は,長きにわたって人々の健康を損ない,その死亡率からは窺い知れないほど甚大な社会経済的な損失を生み出すことにあります。
本分野では,熱帯地域で流行する寄生虫疾患に関し,フィールド・ラボ双方向からのアプローチを通して様々な視点からの理解に努め,未来へ繋がる研究そして人材の育成に貢献したいと考えています。

スタッフ
- 教授 濱野真二郎
- 助教 渡部幹次
- 助教 三井義則
- 大学院生 下川周子
- 大学院生 赤羽美惠子
- 技術専門職員 三浦光政
- 技能補佐員 冨永佐登美
- 技能補佐員 原史絵
- 技能補佐員 林田昌子
研究活動
住血吸虫症
1981年よりケニア・クワレ地区においてKEMRIと共同でビルハルツ住血吸虫症の疫学調査と対策を行っています。
中間宿主である貝の生態やセルカリアの水中濃度を調べ貝対策の一環として環境改善を行うと共に,住民の水との接触行動や KAP(Knowledge, Attitude, Practices)に関する研究を行い,衛生教育や安全な水道水の供与を行ってきました。
尿ELISA, COPT変法, 検尿テープの応用など,診断法の開発・改良に携わる一方,膀胱腎病変,膀胱癌と肝硬変の頻度,排尿困難などに関する調査も続けています。
研究室ではマンソン住血吸虫 Schistosoma mansoni,ビルハルツ住血吸虫 Schistosoma haematobium,および中間宿主となる数種の貝を継代維持すると共に,
i) ミラシジウムの遊泳運動制御機構
ii) セルカリアの皮膚への侵入機序の一端を明らかにし,
iii) 囮貝の大量放流など新しい住血吸虫対策法の開発
iv) 住血吸虫に対するTh2 タイプ免疫応答の誘導機序の解明
などに取り組んでいます。
糸状虫症
1990年より1996年までケニア・クワレ地区においてケニア中央医学研究所(KEMRI)と共同でバンクロフト糸状虫症の疫学調査と対策を行いました。
研究室ではバイオリソースとしても重要なマレー糸状虫 Brugia malayi,パハン糸状虫 Brugia pahangi および糸状虫の媒介蚊であるネッタイシマカ Aedes aegypti を継代維持すると共に,
i) 抗糸状虫活性を持つ植物のスクリーニング,
ii) 糸状虫症の特効薬(IVとDEC)の簡便で高感度な血中濃度測定法の開発を行いました。また
iii) 糸状虫の感染幼虫が血清へ走化性を示すこと
を初めて明らかにしました。
赤痢アメーバ症、リーシュマニア症ならびにトリパノソーマ症
バングラデシュ国際下痢症研究センター(ICDDR, B.)およびヴァージニア大学との共同研究でバングラデシュ・ダッカおよび地方都市において赤痢アメーバ症、リーシュマニア症のゲノム疫学ならびにコホート研究を展開中です。
また、The Bill & Melinda Gates Foundation などからの援助を受けて、ヒトの遺伝形質に加えて、様々な環境因子がリーシュマニア症の発症に及ぼす影響の解明を目指しています。
研究室ではリーシュマニア Leishmania major,L.donovani やトリパノソーマ Trypanosoma cruzi に対する感染防御機構の解明に取り組んでおり、その過程で IL-27/WSX-1 など IL-12 サイトカインファミリーの感染防御に果たす役割を世界に先駆けて報告してきました。
また、腸赤痢アメーバ症のモデル系を確立し,赤痢アメーバ Entamoeba histolytica の病原性発現機構・赤痢アメーバに対する感染防御機構の解明に取り組んでいます。



