熱研生物資源室よりトピックスをお届けします

同じアマスティゴートでも, リーシュマニア原虫と, クルーズ・トリパノソーマ原虫とでは, その形態から両者の区別がつくの?
==== 
全体の形はよく似ていますが, よく見ると, 違いがあるのです
❗❗ ====


光学顕微鏡レベルで相違点がはっきりしています

クルーズ・トリパノソーマ原虫のアマスティゴートはその細胞内に隙間がないのに対し, リーシュマニア原虫のは, 特に, 皮膚リーシュマニア症の起因原虫のアマスティゴートには, 細胞内に隙間(空隙)があって, 一見, 丸まったトリポマスティゴートのようで, 特有の形をしており, いかにも, もうすぐトリポマスティゴートに変形
しそうにみえますが,しかし,鞭毛は観察できません.
ギムザ染色したアマスティゴートに隙間があれば, リーシュマニア原虫と判断してもよいくらいですが, 逆に, アマスティゴートの細胞内に隙間がないから, リーシュマニア原虫でない, つまり, クルーズ・トリパノソーマ原虫だ!とはなりません.

こればかりは, [ 百聞は一見に如かず ] ですから, クルーズ・トリパノソーマ原虫のアマスティゴートの形態(Tc1 Tc2)と皮膚リーシュマニア原虫のそれ(CL3,CL4CL5)とを見比べてください.

どれも, 油浸 x 1,000 倍の光学顕微鏡で撮影したものです.

CL3 CL4との画像は,患者由来の標本です.CL5 の画像は,当室でL. amazonensis をマウスに感染させ, その皮膚病巣部 leision のギムザ染色塗抹標本です.やはりアマスティゴートの細胞内に空隙(隙間)があります.

 

ここでは,リーシュマニア原虫と, クルーズ・トリパノソーマ原虫のアマスティゴートには,形態学的な相違点があるという興味ある生物学的性状をお示ししました. 両者の同定鑑別は別法で可能ですから, ここに示しました形の違いは, 両者の鑑別を目的しているわけではありません. 光学顕微鏡レベルで, このような大きな違いがありますから, さらに詳細な解析をしますと, 興味ある知見がきっと得られるでしょう.

 

ところで,当室のこれまでの経験では,内臓リーシュマニア症の骨髄由来標本中に,空隙のある アマスティゴートを検出した例がありませんが,アマスティゴート の細胞内に空隙(隙間)がある画像が CDC の次の URL に掲載されており,その説明に間違いがなければ,内臓リーシュマニア症の症例にも細胞内に空隙のあるアマスティゴートが存在することになります.

http://www.cdc.gov/parasites/leishmaniasis/diagnosis.html

 

上のほかに,CDC の下の URL にも,空隙のある amastigotes の画像が掲載されていますが,それが,皮膚リーシュマニア症か内臓リーシュマニア症の,どちらの症例由来の標本かは表示されていません.

https://www.cdc.gov/dpdx/leishmaniasis/gallery.html
http://www.cvbd.org/en/sand-fly-borne-diseases/leishmaniosis/pathogens/

 
(Tc1)


(Tc2)


(CL3)
 

(CL4)




(CL5)

リーシュマニア原虫の, アマスティゴートの形態や構造にご関心のある方は, 当室へご連絡ください.
 メールアドレス protozoa○tm.nagasaki-u.ac.jp ○を@に変えてお送りください。