熱研生物資源室よりトピックスをお届けします

素朴な疑問 : その六

==== 原虫の核相はどうなっている? ====

 生物環(ライフ・サイクル)の中に,受精のプロセスがある生物,つまり有性生殖ですが,受精の前に染色体数を半分にする減数分裂という過程(生殖細胞である精子と卵のゲノムはそれぞれ1倍体)があるおかげで,受精後,染色体数はもとに戻り(ゲノムが2倍体),体細胞の染色体数はいつも定まっている(2倍体)のですが,では,マラリア原虫はどうなっているのでしょうか.マラリア原虫の場合,ハマダラカの中腸内の接合体だけが2倍体で,すぐに減数分裂がおこりますので,マラリア原虫のすべての発育ステージは,接合体を除いて,みなゲノムが1倍体(核相が1倍体)ということになります.それでは,なぜ,どこでもかしこでも,受精がおこらないのでしょうか.それは,核相が1倍体でも,ほ乳類体内に生じてくるマラリア原虫の生殖母体と,ハマダラカ中腸内での生殖体以外には雌雄がないのです.
 減数分裂と受精(もしくは接合)が生活環のなかにあることによって,自分のあとの子孫他たちの性質・性状に変化(変異という)をつけることができます.有性生殖のおかげで,性質・性状が多様化するのです.
 トリパノソーマ原虫にも雌雄がある,という報告もありますが,生活環のなかで,有性生殖をおこなう原虫には,マラリア原虫以外に.どのような種類があるでしょうか.トキソプラズマ原虫,クリプトスポリジウム原虫,イソスポーラ原虫,サイクロスポーラ原虫などの生活環のそれぞれの発育ステージの核相はどのようになっているのでしょうか.