熱研生物資源室よりトピックスをお届けします

ブラストシスチス検査, 安価で誰もが必ず検出できる方法とは?
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それがあるのです. しかし, 培養法ですから, 判定までに,

少なくとも2472時間ほどかかるのですが, それでもよろしいでしょうか?  ====

Blastocystis hominis
には病原性がある, または, ない, と両論があるところです. また, 当微生物は, 現在原虫の分類から外れていますが,
臨床感染症では, 従来どおり腸管寄生原虫として取り扱われています. 当室でも, 海外からの帰国者の健康診断の機会に, しばしば検出する微生物ですし,
当室が実施した, 海外のある小学校の調査では, 半数の児童が保有していたケースがあります. 陽性であった帰国者の日本人にも, 小学生たちにも,
特別な症状はありませんでした. 日本人を含めて, 日本在住の人たちを調べますと, 当微生物保有者が見つかる, あるいは, 案外多いかもしれません.
当室で検査を受けた, 無症状陽性者の日本人のうち, 半数は治療(の必要)を望まず, 残りは, メトロニダゾールでの駆除を受けましたが, 効果がなかったケースがあります.


 
当室で, ブラストシスチスの有無を目的に検査した糞便は, 中には軟便も含まれていましたが, みな通常便で, 下痢便はありませんでした.
このような場合, ブラストシスチスの栄養体が排出されているのかどうかは不明ですが, 栄養体を検出するのは難しいことです.
また, シストが排出されているでしょうが, この検出には慣れが必要です.


 
したがって, 別法による, 誰もが確定診断可能な方法が必要です. それが培養法です.

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培養液の調製 ] 特別な培養液は必要ありません. PBS に最終濃度が10%(正確でなくてよい)になるように牛血清を加えればできあがりです.
牛胎児血清である必要はありません. 馬血清でもよいです. 抗生剤は, 入れても, 入れなくてもよいです. 

MEM
のような細胞培養用培養液は使えません. 糞便を培養しますので, 細胞培養用培養液ですと, 翌日には, ばい菌だらけになってしまいます.

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方法 ] 15mlチューブに810mlの培養液を入れ, その中に, 検査対象の糞便を市販の綿棒の先の綿二つ分くらいを入れて撹拌し, 密栓後,
立てて37℃でインキュベイトします. 培養は, 一検体につき複数本おこないます.


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観察 ] インキュベイト1日後, 2日後, 3日後にチューブの底から一滴取りだし, 検鏡します. インキュベイト7日後に陰性でしたら, それ以降に
陽性になることはありませんので, 陰性と判定し, 培養は中止します. この間, 培養液の交換は1回も必要ありません.


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結果 ] どんどん増殖する球状の栄養体が観察できます. 大きさは大小不同です. 分裂途中の, [ ひょうたん型 ]を見つければ, 100%ブラストシスチス確定です.

[ 一長一短 ] 安価, 平易, 熟練不必要, 確定診断可能. しかし, 判定までに13日かかかります.



ブラストシスチスにご関心のある方はご連絡ください.
メールアドレス protozoa○tm.nagasaki-u.ac.jp ○を@に変えてお送りください。