熱研生物資源室よりトピックスをお届けします

[ 続編 その1 ] アフリカ・トリパノソーマ原虫の、血流型を昆虫型へ変えてしまう要因は一体何?
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意外と, 手元の培養液の組成にあった!! ====


in vitro
の系で, 血流型(bloodstream forms)を昆虫型(procyclic forms)へ変化させるもっとも簡単な培養条件は, 培養温度を37℃から約10℃下げて(26℃~)27℃へシフトさせることでした. しかし, 当室では, 37℃でも昆虫型を, 26℃でも血流型を培養維持しますので, 血流型にするか, あるいは, 昆虫型にするかは温度以外に要因があることになります.

, ここに市販から購入したロットの異なる牛胎児血清が3(A, B, C)があります.

これら3本の血清を別々に使用して, 培養液(非動化後, complete medium 中の最終濃度は10%)を調製して37℃で培養していた T. b. brucei の血流型を, 温度を約10℃下げて, その後, ロットの異なる血清が原虫の形態にどのような影響を及ぼすかを比較します. つまり, もともと37℃では, 血流型の集団であったのがどう変化するかをみます.

血清Aでは, すべて昆虫型に変化し, 昆虫型だけの集団になります.
血清Bでは, 血流型と昆虫型とが混在した状態になり, 血清Cでは, いつまでも血流型のまま増殖します. 

このことから, 原虫の培養系が血流型集団になるか, 昆虫型集団になるかは, 培養温度ではなく,
培養に用いる牛胎児血清中に含まれる成分の寡多に左右されていることが明らかになります.


アフリカ・トリパノソーマ原虫の in vitro 培養系での形態変化にご関心のある方は当室にご連絡ください.
メールアドレス protozoa○tm.nagasaki-u.ac.jp ○を@に変えてお送りください。