熱研生物資源室よりトピックスをお届けします

アフリカ・トリパノソーマ原虫の、血流型を昆虫型へ変えてしまう要因は一体何?
== 培養フラスコ内で、37℃でも血流型(bloodstream forms)を昆虫型(procyclic forms)に変換できるし、26℃でも、昆虫型に変化させないで、そのまま血流型を維持できます ==



 もし、哺乳類体内の血流型を、その体内でほぼ同時にすべて昆虫型に変換できますと、トリパノソーマ原虫を死滅させる作用のある殺原虫薬剤などを使用せずに、体内から原虫を一掃できる夢の治療法となります。それは、どうしてでしょう?
 ご存知のとおり、アフリカトリパノソーマ原虫は、細胞内に侵入せず、血液中か体液中にあって常時免疫担当細胞や抗体の監視下に置かれているため、その細胞表面が単一糖タンパク質の分厚い外套(単位膜の外側を表層膜 surface coatという。構成分子が変異可能なので、可変表層糖タンパク質VSGと呼ばれている)で覆われているおかげで、宿主のもつ補体等の先天的な自然免疫系や、その抗原性を変異(VATという)させることで、獲得免疫系から逃れる機構をもっています。
 ところが、昆虫型はその外套を持たないために、活性化補体による細胞崩壊を防ぐことができず、溶解してしまいます。したがって, 体内にあるすべての血流型をほぼ同時に全部昆虫型に変化させることができたら, 先天的に保有している補体が体内の昆虫型原虫をつぎつぎに壊していきます.
 この「夢の治療法」にご関心のある方は、当室へご連絡ください。
メールアドレス protozoa○tm.nagasaki-u.ac.jp ○を@に変えてお送りください。