


ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals : MDGs)に謳われているように、開発途上国の社会的・経済的発展を促進するためには、保健医療問題の解決が不可欠です。
欧米各国では、以前から開発途上国の保健医療問題にとりくむ専門家の育成がはじまっていますが、日本では国際保健の専門家育成のための高等教育機関は存在するとはいえませんでした。
しかし近年、2010年9月の国連本部・MDGs首脳会合での管総理のコミットメントにみられる様に、日本も国際保健分野への貢献を宣言しています。また国際保健医療学会学生部会の設立など、保健医療分野における国際協力に対する若者の関心は高まっています。
このような時代の要請を受けて、長崎大学は、地球規模でおこっている憂慮すべき保健医療問題に対処できる高度な知識と技術を有す実務的な人材を育成する国際健康開発研究科(修士課程)を平成20年度より開講しました。
研究科を“国際健康開発”としたのは、健康増進が開発途上国の社会的・経済的発展の最も重要な鍵の一つであることを強調するためです。開発途上国の健康問題は、貧困、劣悪な生活環境、地域に特有な伝統や文化、紛争等、多様な社会的・経済的要因の錯綜のもとに生じています。
そこで、開発途上国の保健医療問題の解決のためには分野横断的・学際的研究戦略が必要です。国際保健、熱帯医学、経済学、文化人類学、開発学などの多様な学問を有機的に統合した教育を行なわなければなりません。本研究科は、長崎大学が学内に国際保健医療に関連する高度な専門性を有す多くの教員が奉職していることに注目し、分野横断的な教育が行える教育組織(研究科)を創設しました。本研究科は、従来の研究科と異なり、基礎となる学部を持たない、独立した斬新な教育形態をもつ研究科です。教員の多くは開発途上国での豊富な調査研究経験を有していますので、学生は臨場感あふれる講義、実習、演習を受けています。また本研究科では、実務能力を身につけさせるための最重要科目として、開発途上国における実習科目、短期フィールド研修(一年次3週間)と長期インターンシップ(二年次8ヶ月)を設けています。
平成24年3月までにMaster of Public Health (MPH)を授与された修了生は30名で、彼らの多くがWHO西太平洋州地域事務所フェロー、JICA専門家、国際保健コンサルタント、国際連合ボラアンティア等として開発途上国で国際保健の業務に従事しています。
平成23年10月、本研究科は国立国際医療研究センターと連携大学院協定を締結しました。そこで平成24年度からは長崎大学客員教授あるいは准教授を拝命した国立国際医療研究センターの研究者も教育に参画されますので、本研究科の教育研究の領域の拡充と質の向上が大いに期待されます。
近い将来、本研究科で学んだ多くの方々が、開発途上国で活躍していただき、開発途上国の保健医療が改善されることを期待しています。