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森林発生ヒトマラリアと人獣共通感染症サルマラリアの生態研究

アジア・アフリカ学術基盤形成事業における「森林と人獣共通マラリアの生態疫学研究」の活動について理解を促進するために、下図を用いて説明した。

The human and monkey malaria project
川合作図

私たちはどうも鉱脈を掘り当てたらしい(ヒトマラリア原虫2種とサルマラリア原虫Plasmodium knowlesiのスポロゾイトを1匹のメス・ハマダラ蚊唾液腺から検出した)。掘り進めて埋まっている資源を取り出すには、各分野の専門家による協力が不可欠である。そこで、既に確立した体系を有する領域、すなわち昆虫学、森林生態学、霊長類学や文化人類学と、私たちが森林サルマラリアを調査研究するために準備を進めているプラットフォームとの間に橋を架けることを想定し、今後この体制を安定させる計画である。つまり、多領域の研究者が一緒になってそれぞれの専門性を生かして、掘り進め、成果を上げ、それを世界に向かって発信することをイメージした図となっている。

概要

本会は第一部(公開研究集会)と第二部(戦略会議)の二部構成で実施した。第一部では、関東東海地域の寄生虫学、感染症学、霊長類学、森林生態学、文化人類学の専門家、および一般参加者を含め合計43名が参加し、活発な質疑応答、討論がなされた。第二部の戦略会議では、本AA事業の主旨を参加メンバーに周知させことに主眼を置き、プロジェクトの方向性について概説したのち、個々の研究課題や研究手法などについて講演および質疑応答を実施した。戦略会議の参加者には、海外研究者4名も含まれため、共通言語として英語を用いた。

成果

第一部(公開研究集会)は一般向けの講演であったが、国内外で活躍する一線級の研究者による発表であったこともあり、様々な分野の研究者にとって非常に有益かつ刺激的な学習の機会となった。また一般参加者からも、内容がわかり易く、興味深いセミナーであったと評価する声が多く聞かれた。第二部(戦略会議)は、本AA事業の方向性を各研究メンバー間で再確認し、今後の活性化と、成果を上げるための戦略について、厳しく点検する事が出来た。さらに、次世代を担う若手研究者の発表を二題加え、組織の若返りと若手の育成を視野に入れた展開が今後期待される。

展望

現象の記載が進行している。背景にあるメカニズムを生態学的、分子生物学的に明かにするために、一層精緻な探究を実施してマラリア伝播の研究と対策に貢献する。

   

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