JSPS アジア・アフリカ学術基盤形成事業

Contact Us    

ホーム → 平成19年度実施計画

平成19年度 実施計画

1. 拠点機関

日本側拠点機関 : 長崎大学熱帯医学研究所
ケニア拠点機関 : ケニア中央医学研究所
タンザニア拠点機関 : イファカラ保健研究開発センター

2. 研究交流課題名

和文 : アフリカにおける「顧みられない病気」の学際的研究  ( 交流分野:熱帯医学 )
英文 : Multidisciplinary Approach to Neglected Diseases in Africa &bsp;( 交流分野:Tropical Medicine )

3. 採用年度

平成 19 年度( 1 年度目)

4. 実施体制

日本側実施組織

    拠点機関 : 長崎大学熱帯医学研究所
    実施組織代表者 : 熱帯医学研究所・所長・平山謙二
    コーディネーター : 熱帯医学研究所・教授・嶋田雅曉
    協力機関 :
    事務組織 : 事務局・研究国際部・学術国際課・学術国際班


相手国(地域)側実施組織

  1. 国(地域)名:ケニア共和国

      拠点機関 : (英文)Kenya Medical Research Institute (KEMRI)
      拠点機関 : (和文)ケニア中央医学研究所
      コーディネーター : (英文)Deputy Director, Peter Waiyaki
      協力機関 : (英・和文)


  2. 国(地域)名:タンザニア

      拠点機関 : (英文)Ifakara Health Research & Development Centre (IHRDC)
      拠点機関 : (和文)イファカラ保健研究開発センター
      コーディネーター : (英文)Director, Hassan Mshinda
      協力機関 : (英・和文)


5. アジア・アフリカ学術基盤形成事業としての全期間を通じた研究交流目標

アフリカには、住民にとっては無視できない健康被害がもたらされているにもかかわらず、先進国の関心を得られない熱帯病が数多く存在している (顧みられない病気:neglected diseases)。熱帯病はアフリカにおける貧困と社会の不安定の大きな要因であり、その対策は住民のためのみならず 終局的には世界の安全保障にも繋がる。

そこで、本研究は次の三点を目的とする。

  1. 「顧みられない病気」の対策に資すること。

  2. 「顧みられない病気」の対策研究を、学問領域を越えて(学際的に)実施できる風土を確立すること。

  3. フィールドにおけるDSS(demographic surveillance system、人口静態・動態調査システム:長期にわたり、特定した地域内の全人口、 疾病、死亡に関する情報を定期的に収集・集約するシステム)と実験室の先端研究を連動することで、これまでにない研究成果を得ること。


上記の目的に沿って下記を具体的な研究交流目標とする。

  1. 住血吸虫症、下痢症、マラリア、昆虫媒介性ウイルス疾患のDSS と連動した学際的研究

    1. 東アフリカにおける感染症の病原体および中間宿主(病原体の運搬屋、例えば蚊や貝)の同定と分布の調査研究を行い、 その多様性(一見同じに見えるがその病原性や分布が異なるものが多数存在すること)を明らかにする。

    2. DSS 地域における患者、死亡発生、生活様式などに基づいて各疾患の地域における流行特性を描く。

    3. 各疾患の流行特性と、病原体および中間宿主の多様性との関係を、地域別に明らかにする。

  2. 上記疾患研究の東アフリカをまたぐネットワーク形成

    1. ケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute, KEMRI)とタンザニアのIHRDC(Ifakara Health Research (Development Centre)を中核に、東アフリカ研究者の人的交流を活発化する。

    2. そのために、ナイロビ( 長崎大学ケニアプロジェクト拠点はKEMRI 内に位置する)と国内( 長崎大学熱帯医学研究所)で研究集会を開催し、DSS にもとづく学際的研究、neglected diseases 研究の実状と在り方に関する情報交換、 研究成果の発表を行い、東アフリカの研究ネットワークを構築する。

  3. 我が国と相手国の大学院生を含む若手研究者の現地教育と研究能力の向上

    1. 日本の若手研究者では、現場に根ざした教育・トレーニングによって、熱帯感染症分野における骨太の研究者( 地域や人々の暮らし振りを踏まえ、学際性の重要性を認識した研究者)を育成する。

    2. 交流先の(ケニア、タンザニア)若手研究者には日本における研究の機会を与えて調査研究能力の底上げを行い、将来の研究の中核を担う人材を育成する。


6. 前年度までの研究交流活動による目標達成状況

平成19年度より開始

7. 平成19年度の研究交流目標

①共同研究・研究者交流

住血吸虫症、下痢症、マラリア、昆虫媒介性ウイルス疾患のDSS と連動した学際的研究を推進するための基盤を整備する。

  1. 東アフリカにおける病原体および中間宿主(病原体の運搬屋)の多様性の調査
    住血吸虫症:中間宿主貝採取と環境因子(水温、流速など)の調査の標準化された方法を3機関で取り決める。
    細菌性下痢症:細菌分離と分類同定のための実験室(P2 レベル:実験者や周辺への感染防御が厳重なレベル)を準備する。
    マラリア:媒介蚊(ハマダラカ)の全国的採取と自然環境調査の標準化された方法を3機関で取り決める。
    昆虫媒介性ウイルス疾患:ウイルス分離と同定のための実験室(P3 レベル:実験者や周辺への感染防御が高度に厳重なレベル)を準備する。


  2. DSS 地域における患者、死亡発生、生活様式などに基づいて各疾患の地域における流行特性の調査
    ケニアでは西地域(Suba)、各項目の調査を定期的に実施する。タンザニアではIfakara地区周辺の情報を収集する。


  3. 協力体制の構築と強化
    IHRDC(Ifakara Health Research and Development Centre)とのMOU締結に向けて交渉を開始する。(KEMRIとは締結済み)


②セミナー等学術会合の開催

上記疾患研究の東アフリカをまたぐネットワーク形成のために必要な情報交換を開始する。

  1. 年度の中間にアフリカのケニア、ナイロビでセミナーを開催する。今年度の主な目的は、3機関の共同研究、交流の意思統一を図ることにある。


8. 平成19年度の研究交流の概要

  1. 共同研究

    住血吸虫症、下痢症、マラリア、昆虫媒介性ウイルス疾患のDSS と連動した学際的研究は全期間を通じて次のように計画している。

    1. 東アフリカにおける感染症の病原体および中間宿主(病原体の運搬屋、例えば蚊や貝)の同定と分布の調査研究を行い、 その多様性(一見同じに見えるがその病原性や分布が異なるものが多数存在すること)を明らかにする。

    2. DSS 地域における患者、死亡発生、生活様式などに基づいて各疾患の地域における流行特性を描く。

    3. 各疾患の流行特性と、病原体および中間宿主の多様性との関係を、地域別に明らかにする。


    その計画に基づき、本年度は、上記のうち i 、ii を開始する。 iii は本年度は行わない。
    i では、マラリア、媒介昆虫、ウイルス、下痢起炎菌、住血吸虫、媒介貝などの採集、分離、保存などの方法について、3機関の意思を統一し、標準化することを目指す。
    ii では、ケニアでは西地域(Suba)、各項目の調査を定期的に実施するとともに、タンザニアではIfakara地区周辺で、同様の調査を行う可能性について交渉を開始する。


  2. セミナー

    上記疾患研究の東アフリカをまたぐネットワーク形成のため全期間を通じて次のようにセミナーの開催を計画している。
    ナイロビ( 長崎大学ケニアプロジェクト拠点はKEMRI 内に位置する)と国内( 長崎大学熱帯医学研究所)で研究集会を開催し、DSS にもとづく学際的研究、 neglected diseases 研究の実状と在り方に関する情報交換、研究成果の発表を行い、東アフリカの研究ネットワークを構築する。

    この計画に基づき、本年度は、熱研のケニア拠点がナイロビのKEMRIに設置され、DSSがSUBAのICIPEに拠点をおいて実施中である利点を生かして、ケニアで行う。 主な目的は、まず3機関の共同研究、交流の意思統一を図ることにあるので、本年度の参加者数は比較的少ない数を見込んでいる。


  3. 研究者交流(共同研究、セミナー以外の交流)

    上記疾患研究の東アフリカをまたぐネットワーク形成のため、さらに、我が国と相手国の大学院生を含む若手研究者の現地教育と研究能力の向上のため、全期間を通じた研究者交流は次のように計画している。

    1. ケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute, KEMRI)とタンザニアのIHRDC (Ifakara Health Research and Development Centre)を中核に、東アフリカ研究者の人的交流を活発化する。

    2. 日本の若手研究者では、現場に根ざした教育・トレーニングによって、熱帯感染症分野における骨太の研究者 (地域や人々の暮らし振りを踏まえ、学際性の重要性を認識した研究者)を育成する。

    3. 交流先の(ケニア、タンザニア)若手研究者には日本における研究の機会を与えて調査研究能力の底上げを行い、 将来の研究の中核を担う人材を育成する。


    本年度は、「研究協力体制の構築と強化」の年と位置付け、IHRDC(Ifakara Health Research and Development Centre) とのMOU締結に向けて行動を開始する。
    そのためにIHRDC Directorを日本に招聘するとともに、熱研所長もIfakaraを訪問し、相互の理解を深め、MOUのたたき台を作成する。
    一方、すでにMOUを結んでいるKEMRIからは、P3実験室運営のための技術研修の目的で、若手の研究者を日本に受け入れる。


  Copyright © 2007 Nagasaki University, Institute of Tropical Medicine