環境医学部門;疾病生態分野

表示に不具合のあるときは、スタイルシート設定をoffにしてください。
Previous page | Index page | Next page

本分野は,平成13年度より研究の主体を環境生理学から分子免疫遺伝学に移し,熱帯地域で最も重要な問題となっている感染症に対するヒトの免疫応答性や抵抗性に関する分子機構の解明を目指している。従来の環境生理学のための人工気候室2基を完備し,動物用の核磁気共鳴イメージング装置を備えているほか,分子免疫遺伝学のためには現在,クリーンルーム,分子生物研究室,蛋白化学実験室を準備中で,今年度中にすべての研究態勢が整うことになっている。

研究活動

原虫(マラリア・トリパノソーマ),ぜん虫(住血吸虫),ウイルス(デング熱)など重要な熱帯感染症の防御および病態の分子レベル解析を目指している。現在進行中の研究は以下のようなものである。

  1. マラリア重症化と相関するTNF−αプロモーター多型の機能解析。
  2. マラリア抵抗性集団の免疫抵抗性の細胞レベルでの解析,T細胞応答性のHLA−抗原ペプチドテトラマーによる解析。
  3. 住血吸虫感染後の肝硬変に抵抗性あるいは感受性を示すHLA−クラスIIハプロタイプの機能解析。病原性の抗原の同定。
  4. ミニブタをモデルとした住血吸虫防御免疫の解析とワクチンの開発。
  5. 中南米のトリパノソーマ感染者を対象にした重症シャーガス病患者の遺伝解析。
  6. 中南米のトリパノソーマの種内変異と病原性との関連についての分子レベルでの解析。

その他,血中循環抗原に対する単クローン抗体を用いた住血吸虫症迅速診断キットの開発や地理情報システムとリモートセンシングを併用した中国における住血吸虫症の長期監視システムの構築などといった住血吸虫症の制圧対策にも積極的に参加している。

国内および海外との活発な共同研究を進めており,その主な施設としては,海外では1)タイ王国タマサート大学,2)中国上海医科大学,江西省寄生虫病研究所,江蘇省寄生虫病研究所,3)マレーシア医学研究所(IMR),4)メキシコ合衆国国立心臓病研究所,メキシコ自治大学生物医学研究所,5)ペルー厚生省疫学研究部,6)パラグアイアスンシオン大学医学部,保健衛生研究所),6)世界保健機構熱帯病研究特別プロジェクト(TDR),7)ブラジルFiocruz研究所,国内では1)九州大学医学研究科大学院,2)名古屋市立大学医学部,3)慶応義塾大学医学部,4)埼玉医科大学医学部,5)東京医科歯科大学難治疾患研究所,6)東海大学医学部などである。

 教   授  平山 謙二
 助 教 授  大渡  伸
 助   手  菊池三穂子
 技能補佐員  川嶋 順子
 技能補佐員  早嶋 順子