はじめに

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長崎大学熱帯医学研究所は,昭和17年に長崎医科大学附属東亜風土病研究所として開設され,沿革に記載された経緯の後,昭和42年に「熱帯医学に関する学理および応用の研究」を設置目的とする長崎大学附置熱帯医学研究所となった。以後今日まで,日本において熱帯医学研究を目的とする唯一の公的機関として活動してきた。平成元年に医学系国立大学附置研究所として初の共同利用研究所に,平成6年度には大部門制に改組され,平成7年度には文部省から熱帯医学に関する国際的に卓越せる研究拠点(Center of Excellence=COE)に指定された。平成13年度には文部科学省による4大学の免疫・感染症研究の連携推進体制の整備の一環として熱帯病研究センターが独立し,現在の組織は3大部門(11研究分野,1客員分野,1外国人客員分野を含む),1センター,1施設,1診療科からなる。

研究所は平成8年度に行われた外部評価の提言に基づき,当研究所が到達すべき具体的目標を設定すべく委員会を設置し,そこでの審議を経て,平成11年5月に[総合目標−Mission Statement]を策定した。

熱帯医学研究所はこの総合目標を達成すべく下記する種々の活動を行っている。

  • 総合目標『熱帯医学及び国際保健における先導的研究』に関する活動としては
    1. 日本脳炎及びテングウイルス遺伝子の塩基配列解析,細菌毒素に対する宿主受容体の構造と機構の解明,感染防御に必須な活性酸素産生酵素の発現調節機構の分子レベルでの解析,熱帯感染症の分子免疫遺伝学的解析など新しい熱帯病対策法の開発の為の戦略的研究
    2. 東南アジア,東アフリカ等におけるマラリア,デング/デング出血熱,急性呼吸器感染症,住血吸虫症等,熱帯感染症の疫学,対策研究
  • 熱帯病に猛威を振るわせる環境因子,媒介動物や社会要因などの解析等 が行われている。   これまでの研究成果により分子構造解析分野は1993年以来WHOより熱帯性ウイルス病に関する資料と研究のためのWHO協力センターに指定されている。
  • 総合目標『研究成果の応用による熱帯病の防圧ならびに健康増進への国際貢献』に関する活動としては
    1. 多くの教官によるWHO短期専門家,国際協力事業団(JICA)専門家等としての開発途上国における熱帯病対策へ技術協力
    2. 所謂「橋本イニシアチブ」として知られる日本がリーダーシップを発揮して推進している「国際寄生虫対策」事業への数名の教官による技術協力が行われ,
    3. 平成13年度からはJICAの開発パートナー事業として「インドネシアにおけるマラリア対策」が研究所のリーダーシップにより開始される。
  • 総合目標『研究者と専門家の育成』に関する活動としては
    1. 長崎大学大学院医学研究科の協力講座として大学院生の育成
    2. 昭和53年度より熱帯医学研究をこころざす人又は熱帯地域で医療活動を行う人に対して3カ月の熱帯医学研修課程の開設
    3. 昭和58年度よりJICA集団研修コース「熱帯医学研究」の開設による開発途上国の保健医療従事者と医学研究者の人材育成  を行っている。

    以上の活動以外に研究所はホームページを通して広く日本国民に熱帯病研究の重要性を啓蒙するとともに,世界に於ける熱帯病の情報を提供している。

    このパンフレットには熱帯医学研究所の組織,近年の研究活動,国内外への社会貢献等が簡単ではあるが,わかりやすく紹介されている。研究所の今後の発展の為に皆様のご意見,ご支援,ご協力をお願いしたい。

    平成13年6月
      長崎大学熱帯医学研究所
        所長 青 木 克 己