ラオス

期間: 2006年〜現在、 (宮城 啓、氏家無限)

ラオスにおける巡回診療―その2.(宮城 啓)

関西医科大学公衆衛生学教室が主催し、今年で8年目となったラオスの僻地における巡回診療は3月13日から3月17日まで行われた。熱研内科も本活動に2007年より参加している。ラオスは他の最貧国と同様、都市部と僻地における貧富の差が著しい。都市部の富裕層はメコン川対岸のタイの病院を受診するが、僻地の住民はレントゲン検査や血液検査が可能な県病院を受診することさえほぼ不可能な状況である。僻地の住民にとって車で数時間もかかる県病院への受診は経済的に困難である。彼らが受診することのできる医療機関はせいぜい Health Post が妥当なところである。

我々のミッションは2007年からラオス中部のカムワン県を対象とし、僻地の住民に対する巡回診療を3年間行ってきた。カムワン県には9つの郡が存在するため全ての郡を巡回するにはまだ5-6年を要する。今回は関西医大の学生7人を含めた13人の大ミッションとなり、巡回診療における各部門の仕事ぶりが充実していた。対象とした村の総人口は380人でそのうち91.3% にあたる347人が受診した。問診および理学的所見上、明らかな異常所見を認めなかった人は229人(66.0%)であった。異常所見を呈した人の中で最も多かった診断は肺炎などの呼吸器疾患で57人(16.4%)、次に慢性胃炎などの消化器疾患22人(6.3%)、筋肉痛や関節痛を主訴とする筋・骨格系疾患17人(4.9%)、蜂窩織炎などの感染症7人(2.0%)の順であった。マラリアの血液厚層標本の蛍光染色検査は後日行う予定だが、受診者のなかにマラリアを強く疑う症例はなかった。また、糞便検査では受診者347人中338人(97.5%)から検体の提出があり、そのうち240検体(71.0%)に何らかの虫卵を認めた。内訳はタイ肝吸虫が最多で213検体(88.8%)、次いで鞭虫44検体(13.0%)、鉤虫31検体(9.2%)の順(重複感染あり)であった。タイ肝吸虫に対するプラジカンテルの投与は後日行われるが、その他の疾患に対する投薬は可能な限りその場で行われた。

診療終了後には多くの村人が集まり、お別れや旅立ちの儀式であるバーシーをしてくれた。その後のラオス踊りも皆ラオス人に交じって楽しんだ。
今後も毎年3月に行う予定である。

ラオスにおける巡回診療―その2 ラオスにおける巡回診療―その2
ラオスにおける巡回診療―その2

ラオスにおける巡回診療

東南アジアに位置するラオスは最貧国の一つである。隣国タイとは違い、電気や水道が普及していない村は多い。同国において関西医科大学公衆衛生学教室は、毎年巡回診療を行っている。熱研内科は2006年度よりその共同研究に加わっている。巡回診療は毎年3月、医療過疎地域で行われ、たいていお寺が巡回診療の場所となる。1日約100人程度の患者が受診し、身長、体重、血圧測定のあとマラリアの血液検査や便の虫卵検査が行われる。その後診察があり必要なら投薬がなされる。同様なことを2~3日間行い、その後データ解析や住民への結果のフィードバックを行う。今後も同様な活動を行い、同国の医療過疎地域における疾病構造を把握し診療に携わっていく予定である。

カムワン県ボラパ郡での巡回診療活動 カムワン県ボラパ郡での巡回診療活動、
2008年3月
巡回診療の会場となる村のお寺、
2008年3月
巡回診療の会場となる村のお寺
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