イギリス

ロンドン大学・サンガー研究所訪問記

大学院生 藤井 宏

このたび、有吉教授に同行して渡英する機会を得ましたので、報告したいと思います。私は現在、中部ベトナム・ニャチャンの小児から分離された薬剤耐性肺炎球菌に関する研究を行っています。肺炎球菌ゲノムの研究に関して次々と重要な論文を世に送り出しているサンガー研究所を訪れ、ゲノム解析(バイオインフォーマティクス)の教えを請い、研究協力の提案を行う一貫として、自分の研究のプレゼンをするということが、今回一番の課題でした。

今回のプレゼンにあたって、渡航前にクリス・ペリー教授が2時間程度時間を割いていただき、スライド原稿の手直しをしていただいたのですが、有吉教授の熱血指導が早くも福岡空港へのバスの中から始まりました。「乗り継ぎのときにチェックするから、グラフ作ってみて。」と言われ、機内で苦労しながら作業していました。ホテルに着く前に、近くの簡易レストランで食事をとったのですが、その時にもディスカッションがありました。それまでの原稿に論理の曖昧さが残っており、混雑するロンドンの地下鉄内で教授自ら作業していただいたようで、新しいスライドが付け加わっておりました。

翌日は、ホテルにこもってのスライドの手直し、プレゼンの練習で終始しました。クリス教授とともに作成した原稿とは、ほとんど違うスライドになったので、クリス教授に一言断りのメールを送りました。

9月21日に、サンガー研究所を訪問しました。研究所は、ロンドンから電車で1時間くらいのケンブリッジの郊外にあり、ケンブリッジ駅からも車で20分ほどかかりました。朝、ロンドンのキングスクロス駅近くの大英図書館の近くを通っているとき、有吉教授の曽祖父にあたる人がロンドン万博の際、宮大工として渡英し、しばらく英国に住んでおられたらしく、その痕跡を見つけるため、図書館に通ったエピソードを話されました。
 サンガー研究所では、昼食をとりながらのディスカッションのあと、Stephen D Bentley教授に研究所をざっと案内していただきました。案内していただいた部屋だけ見ても、次世代シーケンサーが何十台も設置されており、圧倒される光景でした。本題のプレゼンですが、吉田レイミント先生からベトナム・ニャチャンのおける小児呼吸器感染症症例の継続的な鼻腔検体採取、ウイルス感染モニターと患者背景データの蓄積、健常者コントロールからの検体採取など、質が保証され、十分なボリュームのある検体を提供できることが紹介されました。自分のプレゼンはつたないものでしたが、有吉教授のアシスト、先のベトナムの研究の紹介、日本の肺炎研究サンプルの紹介もあり、将来的な共同研究を視野に入れて、建設的な議論ができたのではないかと思います。さらに、バイオインフォーマティクスの学習のための留学の可能性も非常に現実的となりました。






22日は、少しフリーな時間をいただいたので、パディントン駅近くにあるセントメアリー病院に行ってきました。薬剤耐性肺炎球菌研究で、とくにβ-ラクタム薬耐性がテーマの中心なので、フレミングがペニシリンを発見した場所にぜひとも行ってみたかったのです。有吉教授がHIV研究で2年ほど過ごした場所でもあるようです。あいにく病院内のフレミング博物館の開館時間を過ぎており、外壁のモニュメントだけ写真撮影しました。観光客の多い中心部に比べ喫煙者が多いことが、病院のある地区の第一印象で、英国も日本も問題点は同じと感じました。


23日は、ロンドン大学を訪問し、ロンドン・長崎パートナーシップのシンポジウムに参加しました。長崎大学からは、有吉教授のほか、平山教授、橋爪教授、吉田レイミント先生、クリス・ペリー教授、シャロン・コックス教授のプレゼンがありました。ロンドン大学と長崎大学の関係が、個別のコラボレーションの1つではなく、ともに世界の健康問題を解決していくためのパートナーシップであることが強調され、まさにそう感じました。日本の製薬メーカーの研究開発における潜在力、研究のための日本の基金、先進テクノロジー、長崎大学がもつベトナムやフィリピンなどの研究拠点など、日本側のメリットをロンドン側がうまく活用することで、相乗効果が得られるのだという内容がとてもよく理解でき、この10月のグローバルヘルス校の開校もあり、一学生としてこれからのパートナーシップの発展が楽しみです。David Prieto先生が、長崎大学で2週間の疫学統計ショートコースで教えられたときの印象を語られ、日英の講義スタイルの違い(学生が当初、あまり議論に乗ってこなかったこと、グループワークを行い、最後にはよいフィードバックが得られたこと)、今後の講義のあり方について述べられました。



  



  



  


午後からはUCL病院の感染症病棟で行われた画像カンファレンスに参加しました。また、ロンドン大学のジョン・スノーホール(19世紀のロンドンで大流行したコレラの原因をポンプ井戸であると特定した医師にちなんだホール)で、Joy Lawn教授の講演を聴講しました。Lawn教授は、自らがウガンダの病院で帝王切開の後、生まれた生い立ちを話され、途上国で新生児死亡・死産を減らすために精力的に活動されていることを自らのデータを示しながら、講演されました。





  





ロンドン滞在最終日の24日は、同じジョン・スノーホールでLiz Corbett教授の講演を聴講しました。Corbett教授の研究テーマは、HIV蔓延地域における結核のコントロールに関するもので、HIVの自己検査にも言及されました。

以上、短いながらも充実した1週間を過ごしました。サンガー研究所でのプレゼンは、ほとんど手取り足とりで行ったものでしたが、何とか自分の役割は果たせたのではないかと考えます。連携の輪は今後も国内外にどんどん広がっていくと思います。とくに若手の皆様、この輪に加わってみませんか?

LSHTM留学近況報告

加藤 隼悟

熱研内科のホームページに寄稿するのは随分と久しぶりになってしまいましたが、留学中につき近況報告させて頂きます。私は今年度(2012-2013)、英国のロンドン大学を構成する学校の一つであるLondon School of Hygiene and Tropical Medicine(LSHTM)の熱帯医学修士課程(MSc – Tropical Medicine & International Health)に留学しております。幸いにも今年度は当科から土屋先生もLSHTM(MSc - Epidemiology)に留学されていて、大変お世話になっております。土屋先生のレポートも是非御拝読下さい。

思えば2009年度に熱研内科から2ヶ月間フィリピンのサンラザロ病院で感染症研修に行かせて頂いたのが、初めての臨床熱帯医学経験でした。あの時は英語でのコミュニケーションの難しさと、貧困と感染症の入り組んだ臨床現場における自分の無知無能さを痛感するばかりでした。その際にプライマリケア能力、総合診療力の重要性を再認識し、2年間北海道の江別市立病院総合内科で勉強させて頂きました。同時に英語の勉強にも苦しみながら挑み続け、去る9月にようやくLSHTMに滑り込むことができました。

LSHTMについてはこれまでも多くの先生方が熱研内科のホームページで紹介されていると思います。有吉先生をはじめ鈴木先生、濱口先生、島川先生、高橋先生、土屋先生と、ここで学ばれた方は多く、先生方の記述からもその素晴らしい学習環境と経験が感じられるかと思います。また、熱研内科は例年LSHTMから先生をお招きして講義をして頂く貴重な機会がありますので、そちらのレポートも参考になるかと思います。ともかく、LSHTMは歴史、研究実績、優れた指導者が多いという世界最高峰の熱帯医学教育機関なのだと感じられます。毎週Global Healthを議論するセミナーやカンファレンスがあり、時には世界的スペシャリストの揃う国際的なカンファレンスや、Lancetの編集者達とのディスカッションといった熱帯医学・国際保健におけるアカデミックな最前線を身近に感じられます。

LSHTMの学生はResearch course(いわゆるPhD)、Master course(Master of Science, Master of Public Health)、Short course(Diplomaや単科受講)に分けられますが、Master courseが特に多彩で学生も多いです。詳細はLSHTMのホームページを是非ご覧ください。私の通うMSc‐TMIHコースは医師限定の臨床重視コースで、同時にDiploma in Tropical Medicine & Health (DTMH)も取得できるのが特色です。Master courseはいずれも3学期約8ヶ月間の講義と実習の後で3ヶ月程度のうちに自ら選んだ研究テーマを元に修士論文を作成し、評価を受けることになります。講義は選択の幅が広く目移りしますが、私は臨床感染症系のものを中心に選び、他に疫学、臨床研究、AIDSに関する講義を選択しました。Term 1では寄生虫・病原動物学、EBMや医療統計の基礎が必修で、講義と実習のほかにグループワークやプレゼンテーションを行います。これは英語力が要求され、特に帰国子女でもなく留学経験もない自分には苦しい関門でした。幸か不幸か同じコースには日本人どころか東アジア・東南アジア人は一人もおらず、一人で苦戦していても皆が優しくて助かりました。試験も大きなプレッシャーで、特に記述試験は大変です。一問につき一冊の解答冊子が与えられ、山ほど書かないといけないようです。問題は選択できるので、敢えてエッセイではなく数式で許される統計、疫学系と臨床問題で挑む戦略を練っているところです。他にはTerm毎に選択教科の試験や顕微鏡の実習試験もありますが、選択枝が与えられたりShort answerだったりで、英語に苦しむ度合いはマシです。

MSc – TMIHコースの目玉は何と言っても臨床系講義だと言えます。Term 1では週に一日はUniversity College Hospitalと隣接する熱帯病病院でClinical Case Studyの日があり、各国から来ている臨床家と議論しながら学ぶ機会があり、TMIHならではのセッションでした。ただ、ロンドン自体は熱帯地ではないので、Case Studyは主に過去の症例をスライドやPaper-basedの教材で検討することになります。熱帯感染症の患者さんは旅行者や留学生も多いですが、南アジアやアフリカ系移民とその家族がかなり多く、時には集中治療を要するような重症マラリアやアフリカトリパノソーマ症(ねむり病)、リーシュマニア症など様々なケースがあるようです。Term 2では3カ月間のDTMHコースと合同でみっちりと臨床感染症、感染制御、国際保健に関する講義を受け、3月末にMaster degreeとは別にDiplomaの試験もあります。過密スケジュールでMaster courseの課題も並行して行うため、最も過酷な3ヶ月間と言えそうです。試験自体は選択式問題なのがせめてもの救いですが、非ネイティブの凡人には辛い試練です。これを乗り越えれば最後のTermとなり、最後に6月初めの2日間の総合試験を終えれば残りはサマープロジェクトです。TMIHコースの場合プロジェクトに制限はなく、自由にテーマを選べます。クラスメイトは既にMSFやNGO団体で熱帯医学の経験を積んだ人や、臨床研究の経験がある人、感染症のスペシャリストなども多く、約30人のうち卒後5年以内の若手は10人前後です。そのため、皆自分の経験に関連するテーマでプロジェクトを行うことが多く、世界中様々なところに散っていきます。内容は3カ月で完成するものとなると、literature review, data analysis, research proposal, 小規模な臨床研究(症例対照研究、横断研究、質的研究など)などがよく選ばれるようです。各学生には教員が通年の個人チューターとして割り当てられており、プロジェクトについてもチューターに相談しながら決めることになります。テーマによっては学外のスーパーバイザーを紹介してくれることもあり、基本的にプロジェクトのテーマは学生の希望が尊重されます。私もDTMHの試験が終われば本格的にプロジェクトの準備を進めないといけません。

あっという間に5カ月が過ぎてしまいましたが、この贅沢な環境で存分に勉強しないともったいないと焦ってばかりです。授業料は年間2万ポンド弱(1ポンド140円で約280万円)と高いですが、学習環境は充実しています。講義の資料や必要なソフトウェアは全て学内のコンピューターから利用可能であり、学外からもインターネットで学内コンピューターへのアクセスが可能で、学生は文献や高額なソフトを熱帯地域からでも利用可能です。他にもITスキルや英語力トレーニングの課外授業もあり、世界中から集まる様々な学生をサポートする体制が整っています。私のコースも半分はイギリス、アイルランド、北米、豪州出身ですが、アフリカ8人、中南米3人、その他欧州が3人、アジア2人という多彩な顔ぶれです。経験もバックグラウンドも様々で、英語についていくのは大変ですが、志の高い人たちと苦楽を分かち合い仲良く学習できるのは貴重な経験になります。

末筆ですが、このような貴重な経験をさせて頂くに際して、熱研内科の先生方に多大な御支援を頂いていることを心より感謝申し上げます。特に、有吉先生、濱口先生ならびに江別市立病院長の梶井先生の御支援なくしては有り得ないことでした。有難うございます。今後も多くの方がLSHTMで知識と仲間を得て、長崎や世界中で活躍されることを祈念しております。自分も無事に卒業して、修得したことを長崎でも活かせるように頑張ります。






ロンドン便り(London School of Hygiene and Tropical Medicineに留学して)

土屋菜歩

2012年9月から、ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine: LSHTM)で学んでいます。LSHTMはロンドン大学の一部で、グローバルヘルスと公衆衛生に関する一流の世界規模の研究、教育機関として広く知られています。100カ国超の国々から4000名の学生が集まり、公衆衛生学、熱帯医学、疫学、感染制御学、栄養学と多岐にわたる22の修士課程で学んでいます。私の在籍するコースはMSc Epidemiologyという1年間の疫学修士課程です。クラスメートはフルタイム、パートタイム、distance learning合わせて約40名、18カ国から集まっています。臨床医、海外プロジェクト経験者、エコノミスト、人類学者、研究者・・・と経歴も年齢も様々ですが、疫学というツールを身につけて自分の分野に生かしたい、という明確な目的を持って来ている人が多いです。

MScの1年はterm1から3までの3学期制です。Epidemiologyのコースは他のコースに比べて必須科目が多く、選択肢は多くありませんが、疫学・統計を集中して学べる構成になっています。term1で基礎を学び、term2,3ではより実践的かつadvancedな内容に進みます。授業はほとんどが講義・実習の組み合わせです。講義で習ったことを用いてグループで討論・発表を行ったり、データ解析をしたりします。講義でも実習でも次々と意見や質問が出て非常にinteractiveです。学生皆の意見の一致するところですが、LSHTMの最大の魅力は講師陣と講義資料の素晴らしさです。実際のデータがふんだんに入った講義資料を用い、自分が文献や教科書でよく目にしている人の講義を受け、気軽に質問や討論ができるという信じられないくらい恵まれた環境です。他大学とのjoint seminarやLancetのlecture seriesなど魅力的なセミナーや講義も頻繁に開かれており、学問的な刺激にあふれています。自分のこれまでのフィールドでの経験を論理的に裏打ちし、さらに広げてくれる知識と手法を学べる毎日に喜びを感じる日々です。

充実したサポート体制も特筆すべきところです。全生徒に1人ずつチューターが割り当てられ、1年を通じてサポートしてくれます。授業には必ず学期の途中や最後にreview sessionや小テストがあり、自分の到達度を確認し、弱点を強化できるようになっています。学生は授業内容や講師陣についてのfeed backを提出し、その内容は公開され、次年度以降の授業に生かされています。他にもキャリア相談、英語やパソコンのスキルアップのコース、社会経済的なサポートなど、たくさんの人と部署が関わって包括的なサポートが得られる仕組みになっており、私もよく利用しています。

仲間のよさを実感できたことも収穫の一つです。グループワークを通して自分の意見がより明確になり、異なった視点での見方に気づき、より大きな成果を上げることができます。Epidemiologistは常にチームの一員としてプロジェクトに関わります。LSHTMでの経験は今後チームで仕事をしていくよい訓練になっています。また、勉強に行き詰ったときにも一緒に乗り越えていく仲間がいるというのは最高に心強いです。クラスはみな仲が良く、授業以外にもいろいろなイベントを企画したり情報交換したりしています。授業では他のコースの学生とも一緒になるので、そこでも人間関係が広がっています。私と同じように家族や子供を連れてきている同級生も少なくないので、時間のマネジメントや子供のことなどもよく相談しあっています。

良いことばかり書いてきましたが、最初の1-2ヶ月は環境に慣れるのにやはり苦労しました。英語で積極的に議論に参加すること、特に相手と反対の意見を述べるということが難しく、タイミングを見計らっているうちに何も言えず終わり自己嫌悪に陥ることもしばしばでした。授業中に1回は自分の意見を述べる、と小さな目標を立ててクリアするようにし、同じような海外留学生、他のコースの日本人留学生とも励まし合いながらやってきました。今では大分楽に討論できるようになりました。

毎日が本当にあっという間に過ぎていきます。5月半ばで授業は終わり、6月の試験の後はいよいよ修士論文となるsummer projectが本格的に始まります。あと半年、与えていただいた貴重な時間の中で、より多くのことを吸収し身につけて帰りたいと思っています。最後に、留学の機会を与えて下さった有吉教授と熱研内科の先生方、関係の方々に心より感謝申し上げます。


疫学の父と言われるJohn Snowの井戸の前でクラスメートと

リバプール大学熱帯医学修士課程  齊藤 信夫

現在、リバプール大学熱帯医学修士課程Liverpool School of Tropicalmedicine
(LSTM: http://www.liv.ac.uk/lstm/), Masters course(MSc)in Infectious Disease に在籍しています。

自己紹介、動機、入学までの流れ 私は高校時代より、熱帯地域で働きたいと考えていました。2005年鳥取大学医学部医学科卒業し、独立行政法人長崎医療センター初期研修を修了しました。2007年熱研内科入局し、大学病院で1年間、その後、市中病院で1年間呼吸器感染症科医として働き、本格的に熱帯感染症学、臨床研究の仕方を勉強したいと考え、LSTMに入学しました。

LSTM MScについて
LSTMは 1898年に世界で初めて創設されたもっとも歴史のある熱帯医学校です。様々な熱帯感染症の研究や、PHD, MSc, DTMHのコースがあり、世界各地から学生が訪れ勉強、研究をしています。LSTMのDr Ronald Rossはマラリアが蚊から媒介することを発見し、1902年にイギリスで始めてノーベル賞を受賞しました。その他にも多数の有名な研究者を排出し、現在も多数の研究が進められています。(LSTM ホームページより抜粋)

現在私が在籍しているMasters Program(MSc)は1年間のコースです。MScには疫学、公衆衛生、寄生虫学、熱帯感染症学など8コースが存在します。私は臨床医向けの熱帯感染症学Tropical and Infectious Diseases(MTID)に在籍しています。

MTIDでは9月より3月までは授業形式のコースがあり、その後、4月より8月まではそれぞれの研究プロジェクトを行います。MTIDではほとんどの研究プロジェクトが海外で行われています。9月から3月までは1.5カ月1単位(月曜~木曜)で様々なコースを選べます。(臨床感染症学、臨床寄生虫学、小児感染症学、感染症疫学など) 私は臨床感染症学を中心により臨床に近い項目を選びました。それらとは別に金曜日は統計の講義が9月~3月まであります。

感想
現在入学より1カ月半が経過しました。正直な感想は“”大変“”です。英語が苦手であったため、入学2か月前よりリバプール大学の語学コースに通い、英語の成績はなんとかクリアーしましたが、それでも毎日の英語の授業とdiscussionなどについていくのは大変です。しかし、MajorからMinor疾患まで多くの熱帯感染症を学ぶ日々は興奮の連続です。また、授業が大変ユニークで面白く、どの先生も授業に一切手を抜かず、真剣に教えてくれます。現在はDTMの生徒と一緒のクラスなので80人くらいが同じ教室で授業を受けます。8割くらいがイギリス出身の医師で、その半分くらいは途上国経験者です。その他にはアフリア、ヨーロッパ、アジアなどから学生が来ています。

とてもユニークであると感じたのは、一つの疾患を学ぶときに、一つの授業ではなく、多方面からの各種専門の講義が分かれてあります。例えばその日のテーマがマラリアであったら、寄生虫基礎医学の講義(マラリア原虫に関して)、昆虫学の講義(ハマダラ蚊に関してとその対策)、成人臨床、小児臨床の講義、実習(血液塗沫標本、蚊の見分け方など)が続けて行われます。マラリアなどMajor疾患は4日間くらいかけて行います。集中して行われ、多方面から一つの疾患を同時にみていくやり方は大変新鮮でした。その中でも特に臨床の講義が面白いです。実際に多くの臨床経験、臨床研究を持つ講師陣がわかりやすく教えてくれます。

テストが既に2回行われ、今後あと2回筆記のテストが行われます。それとは別に2つの小論文提出を12月までに行わないといけません。小論文に関してはそれぞれ担当教官が振り分けられるのですが、驚いたことに大変有名な教授Dr Bertie Squire(President of The International Union Against Tuberculosis and Lung Disease)が僕の担当教官になってくれました。始めて会うときはすごく緊張しましたが、初めてのmeetingでは論文の方針など読むべきmajor paper など丁寧に指導してくれました。

金曜日はそれとは別に統計の講義、実習が毎週あります。始めに講義を行い、その後、簡単な練習を行うという感じです。授業は基礎的な事から行ってくれてはいるのですが、日本語でもわからない統計の授業に英語でついていくのは正直きついです。

LSTMはUniversity of Liverpoolの一部なので大学の施設(図書館、インターネット、ジムなど)を使用することができます。24時間開いている図書館など勉強するには不便がありません。また、リバプールは何となく長崎と似ています。歴史があり、港町で、観光で有名(ビートルズ、サッカー)でそれ程大きくないが不便ではない、物価も安く、きれいな街で気に入っています。

まとめ
1カ月半が経過しましたが、ついていくのが精一杯です。イギリスの生活には何とかなれましたが、英語に苦労しています。 入学前、英語の成績が足りなかったため、医局に無理を言い大分前より休ませて頂きました。他の医局などでは考えられないことだとは思いますが、このような事も快く了承していただきました。また、多くの学生がMSc終了後、新なた就職先を探さないといけないなか、また医局に戻ることができるというのは大きいと思います。 研究プロジェクトなどでは今後にもつながるように、有吉先生にアドバイスをして頂きながら進めていっています。

将来的な目標としては、臨床医であり続けながら、臨床研究(結核、HIV、熱帯感染症など)を行っていきたいと思います。イギリスでは海外で臨床研究を行いながら、臨床医として働いている医師が多く存在します。日本では日常の業務が忙しく、なかなか臨床医が臨床研究を海外で行っていくのは難しい状況があると思います。日本は、臨床研究分野では、2002年まで12番目であったものが2003年以降は18番目とさらに順位を下げているとのことです。(JPMA News Letter No.128)。臨床医として海外で臨床研究の行える熱研内科はイギリスのスタンスと似ており、日本ではほかにはないと思います。

ここで精一杯頑張って、多くのことを学び、今後の糧にできればと考えています。

旧校舎(授業はこちらで行われます)
新校舎(研究など)
(授業風景)
クラスメート達とpubにて

活動: ロンドン大学衛生・熱帯医学校(Msc Public Health in Developing Countries)
期間: 2008年9月〜2009年9月 (鈴木 基)

鈴木 基先生のblogはこちら
週刊医学界新聞のコラムはこちらPDF版のダウンロードはこちら

活動: ロンドン大学(Queen Mary University of London)医学部在籍
期間: 2007年9月~ (西村 生)

ロンドンから現状報告

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