研究内容

肝細胞期マラリア原虫を標的とした細胞性免疫誘導ワクチン開発研究

本分野は、マラリアワクチン開発研究を主たる研究プロジェクトとしています。私たちは、”肝細胞期”のマラリア原虫を標的として、これに対して特異的な“細胞性免疫”を誘導するワクチンの開発を目指しており、これが特色と言えます。
マラリアの原因となるマラリア原虫の生活環はヒトの体内では肝細胞期と赤内期に分かれています。多くの薬が開発されている赤血球期に対し、肝細胞期に使用できる薬剤は副作用を示すわずかなものに限られています。
また、肝細胞期マラリアに対してはTリンパ球が主体となる細胞性免疫が防御に重要であると考えられていますが、これまでのワクチン開発研究は液性免疫(抗体)誘導に重きを置いたものが多く、細胞性免疫の誘導に着目したものはこれまで多くありませんでした。
本分野では、「肝細胞期マラリア原虫を標的とした細胞性免疫誘導ワクチン」の開発を目指して、ワクチンを構成する各要素(抗原、抗原を運ぶデリバリーシステム、免疫系を活性化するアジュバント物質など)の最適化を試みています。
私たちの研究は、マウスモデルを用いた検討から開始しましたが、マウスモデルでの検討結果をヒトに感染するマラリアに応用し、ワクチン開発に結び付く研究結果を得ることを目指しています。

その他の研究

本分野では、マラリアワクチン研究以外にも下記のような研究を行っています。
● 各種伝承医薬などを用いた新規抗マラリア薬開発研究
● iPS細胞を用いたマラリア・デング熱の細胞性免疫モデル構築(及びこれを用いた各種検討)

また、下記のような研究にも分担研究者として参加し、主に細胞性免疫の評価を担当しています。
● デング熱感染回復期の細胞障害性T細胞抗原受容体レパトアのシングルセル解析
● mRNA送達を基盤とした革新的T細胞誘導型ワクチン医薬の創成
● COVID-19に対するmRNA吸入ワクチン開発