事業説明

8月 27, 2020

日本学術振興会 研究拠点形成事業は、我が国において先端的かつ国際的に重要と認められる研究課題、または地域における諸課題解決に資する研究課題について、我が国と世界各国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準または地域における中核的な研究交流拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の育成を目的として、平成24年度に開始された事業です。

2020年度の研究拠点形成事業「B.アジア・アフリカ学術基盤形成型」に長崎大学熱帯医学研究所(コーディネーター:金子 聰)の『グローバルヘルスの改善・向上に資するIoT学術拠点の形成』の研究交流計画申請が採択されました。

この研究交流計画は、ケニア、ラオスを繋ぎ、国内外の大学研究機関と供に、IoTを活用した電子母子登録・電子母子手帳システムの開発、ならびに途上国でのIoTの拡大をめざしてゆきます。

研究交流計画は以下の通りです。

① 共同研究:クラウド・ベースの電子母子手帳登録システムの研究開発と運用、ビッグデータ化とデータ解析についての共同研究の実施:

クラウド・ベースシステムが稼働できない地域におけるオフラインシステムについて研究開発を行い、その運用にむけたオペレーショナル・リサーチに取り組む。また、オフラインシステムのデ-タ蓄積とクラウド・データベースの統合に関する研究、蓄積データ解析と保健医療政策への還元に向けた情報フローに関する研究、さらには、政策評価に資する解析結果の可視化、システム利用促進に向けた研究を展開する。生体認証システムの運用に関しては、その母子への応用を展開する。NEC研究所とともに新生児の生体認証登録の仕組みについて開発を進めており、母子共に生体認証によりIDの発行を行い、そのIDに紐付けるデ-タの拡張を実地研究する。

② セミナーの実施

拠点機関が中心となり協力機関、交流相手国拠点機関、WHO・UNICEFなどの国際機関さらには、本事業に関心のある研究機関、団体、研究者の参加も得て、セミナーを開催する。初年度は、長崎大学にて、次年度はケニア中央医学研究所にて、最終年度は、ラオス国立公衆衛生研究所において実施する。セミナーでは、各研究開発の進捗を共有するとともに、その成果を交流相手国の周辺国や関係する国際機関へ積極的に情報提供し、NIOPH・KEMRIがアジア・アフリカ地域において母子保健改善・向上におけるIoT分野の中核的研究交流拠点となるための活動を行う。

③ 研究者交流

研究開発に関して、積極的な若手の取り込みを図る上でも、研究者交流は重要と考えている。一方で、システム開発からデータの解析、ビッグデータ化に関して、途上国においてそのような研究を志向する若手研究者が我が国には非常に少ない。その点に配慮し、積極的に若手研究者の取り込みを図る。拠点機関教員が多く併任する熱帯医学・グローバルヘルス研究科の修士、博士課程の学生を投入するとともに、交流相手国拠点機関からの若手研究者との交流機会を多くもうけ、これまでに無い新しい発想の開発研究の展開も含め、多くの機会を提供することを計画する。交流相手国間での、若手合宿セミナー等(セミナーに合わせ各国で開催)の検討もおこなう。

実施体制図